日経ビジネスのオンライン版で「AI未満人材、教育劣化ニッポンの現実」と言うのありました。記事で引用されているのは国立情報学研究所、新井紀子教授著の「AI vs.教科書が読めない子どもたち」でこれは少し古い本になりますが、ノンフィクション系のロングセラーになっているようです。私もこれは発刊後すぐに読みましたが、衝撃です。日本人に読解力がないのです。つまり、日本語が読めるけど意味が分からない、そういうことです。

私はいろいろなシーンで若い日本人の方と接することが多いのですが、会話が成り立たないケースが時折あるのです。別に私が小難しい話をしているわけでもないのですが、余りに立ち位置の土台が違い過ぎるのです。多分、日常生活に於いて「生活の知恵」「知識の泉」を全く必要としないのでしょう。

最近、ある方と面接をしました。当地の有名な大学の経済学部を卒業した方です。「経済学の何を勉強されましたか?」「ミクロ経済…」「その何を勉強されましたか?」「えぇっ、そんなこと聞くのですか?えーっとー」で沈黙になってしまいました。情けないの限りですが、外国の大学出すらそんなものなのです。(個人的には普通に卒業できたとは信じがたいです。)

取引の関係上、日本の一流企業にお勤めの方ともやり取りをしますが、正直「一流」を感じる人が少なくなりました。与えられている職務を受動的にこなしているだけで知識の広がりがないのです。そりゃそうです、範囲以上のことをすれば「越権行為」で社内的には禁じられています。つまり、知識はごく限られた社内のルールに基づく社内の知識だけでよいのです。「他社との比較ですか?ちょっとわかりかねます」。このレベルなのです。

これは別に日本だけの問題ではないと思っています。世界中の若者は本は読まないし、生活の知恵も必要ではなくなったのです。AIが解決するし、支援もしてくれます。我が母校が巨額の費用をかけて大図書館を建築中ですが、「さて、誰がそこで本を読むのだろう?」と果てしない疑問符がつくのです。

我々が機械に使われる日が必ずやってくるのだろう、という想いが日々強くなる今日この頃です。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月13日の記事より転載させていただきました。