一概にパワハラと切って捨てられない難しい面

「セブン」記事は、猿之助は日頃から一門の俳優やスタッフらに対してハラスメント行為に及び、スキンシップを拒んだスタッフを公演から外したり、逆に好意を持った駆け出しの役者に大きな役を与えることもあったとも伝えていた。そんな猿之助のお眼鏡にかなった一人がAさんだったのかもしれない。また、猿之助は歌舞伎の外の人間も積極的に起用する一方、一門の古参の俳優やスタッフを排除する面もあったとも伝えられていたが、前出・週刊誌記者はいう。

「『スーパー歌舞伎Ⅱ』で人気アニメの『ワンピース』や『鬼滅の刃』を題材に選ぶなど、猿之助は既存の歌舞伎の伝統を守りつつ前衛的かつエンターテイメント色の強い演出に果敢に挑戦してきた。それは歴史が浅い澤瀉屋が独自の足場を築き生き残っていくために、猿之助が考えた生存戦略という側面もある。猿之助の襲名後、そうしたやり方についていけずに一門を離れた俳優やスタッフは少なくないようだが、彼らからしてみれば『追い出された』と感じてもおかしくはなく、どちらかが正しいという単純な問題ではない」

 歌舞伎界を取材する別の週刊誌記者もいう。

「猿之助の誘いを断ったために舞台から外されたと周囲に話すスタッフがいたことは事実のようだ。歌舞伎の世界は狭いので、今回の『セブン』記事についても、内部の誰が週刊誌に情報や澤瀉屋関係者の連絡先を渡しているのかは特定されている様子。今の猿之助が四代目を襲名して以降、澤瀉屋を去ったスタッフ、俳優の数は一桁ではない。猿之助が稽古などでかなり厳しかったという報道も出ているが、歌舞伎の主役クラスの俳優で、稽古のときに厳しくない人などいないし、勢いあまって厳しい言葉が発せられることは日常茶飯事。