白ける衆議院解散風
どうも解散風が吹いているようですが、今回は自民党重鎮あたりも「大義」という言葉でけん制する向きが多いようです。ただ、岸田さんはやる気を見せている、そんな構図です。大波乱の入管難民法改正案ではれいわの山本太郎氏の熱さに「ほう、こんなシーン、久しぶりだな」とむしろ感慨深く見入ってしまいました。入管法改正もLGBT法案も岸田流やっつけ仕事です。首相はこれらには特に思いはなく、さっさと片付ける、これがスタンス。実にわかりやすいです。同じことは統一教会問題の際にも見せました。
首相の気持ちは一つ。「解散、大丈夫だろうな」だろうと察します。私は今ではないと思い続けていますが、仮にやる「大義」があるとすれば立憲、共産潰しだろうと思います。個人的な大胆予想は自民は議席を相当数減らすが、立憲、共産、公明も減らし、維新が躍進、国民も微増となり、連立の見直し論をわざと作り上げるシナリオではないか、とうがった見方をしています。巨大組織化した自民の”ほぼ”一党体制より、多少ミックスの方が刺激があるし、宗教的背景の公明の安定感への依存から自民が筋肉質になり、荒波に自らもまれるというならそれは逆の意味で大いに結構です。
岸田氏の評価は割れています。嫌いな人は嫌いでしょう。それは誰が首相をやってもそうなのです。100人がみな「大好き」なんてそんな薄気味悪い世界はあり得ないのです。ただ、安倍さんの時のような割れ方ではないのがキーです。そして岸田さんになってから結構ポイントゲットをしているのです。マスク解禁、賃金上昇、景気観上昇、外交は特に良好、社会問題から転じた統一教会、入管法、LGBTを「しっかり」法案化させ、「実績を積んでいます」とアピールは出来るのです。彼はまだまだやりますよ。だけど、憲法改正に踏み込むかは疑問です。

岸田首相 uschools/iStock
トランプ氏が再び起訴されました。今回はフロリダの自邸から出てきた大量の機密書類を巡る問題で政党的に中立な「特別検察官」が捜査し、起訴に至ったものです。前回のポルノ女優への口止め料問題という軽犯罪とは比較にならない重さです。もちろん、今回の起訴は始まりでしかありません。これからねちねちと検察との攻防が始まります。特にトランプ氏が本格的な選挙戦に突入する頃に何度も水を差すような検察の嫌がらせがあるはずです。
そしてもう少しして出てくるのが同様に相応重い議会襲撃事件に関する起訴。こちらも既に大陪審にて審理が進んでいます。起訴する順番とタイミングも巧みに演出されています。最後が2020年のジョージア州での選挙への介入でこちらは検察の調査は進んでいますが、大陪審での審査には入っていません。冷静な見方をすれば機密書類持ち出しと議会襲撃問題はトランプ氏の存在そのものを脅かすほどの事態であり、そこを潜り抜けて次期大統領になると考えるのはあまりにも空想的です。
共和党候補者選びを例えるとドーナッツのように見えます。中心にトランプ氏がいるのだけど実際には既にもう存在しない、だけど、妙に求心力がある、そんな絵図です。センターを中心にトランプ氏とベクトルが近いデサンティス氏やトランプ氏批判をネタにするペンス氏などが壮絶なつぶし合いをしている間に民主党が体制をどう整えるか、というシナリオではないかと察しています。
後記 カナダ東部の山火事が大変な状態になっています。遠く離れたNYでは空が赤くなり、ワシントンDCもその煙で真っ白になっています。北京の黄砂どころではないのです。山火事は各所で発生し、制御不能で天候の変化を待つばかり。一方、当地BC州でも火事が発生し、空はすっきりしません。そもそも夏はかすみやすいのですが、今年は煙で外に出るのもはばかれるような状態になるかと思うと自然災害の恐ろしさを改めて感じます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月10日の記事より転載させていただきました。