「防衛力強化」は日本の抑止力を格段に高める

さらに、共産党は、「防衛力強化」は軍事対軍事の悪循環をもたらし危険であると主張する。しかし、反撃能力を含む日本の防衛力の抜本的強化は対中、対北朝鮮、対ロシアの抑止力強化に極めて有効である。なぜなら、これらの専制独裁国家はいずれも、あらゆる国際法よりも徹底して力のみを信じ力には従う力の信奉者だからである。

また、米欧中の軍拡競争は旧ソ連が崩壊したように、中国の経済的破綻や政権崩壊をもたらす可能性も否定できないのである(米戦略家トマス・リード=「正論」2021年7月号23頁以下参照)。

岸田内閣の反撃能力保有、防衛費増額などの防衛力の抜本的強化は、ロシアのウクライナ侵略、中国の大軍拡による台湾有事、尖閣有事、沖縄有事の危険性、北朝鮮の核ミサイル開発加速などによる専制独裁国家の軍事的脅威への対応を原因とするものである。このような専制独裁国家による軍事的脅威がなければ、岸田内閣は決して今回の政策には着手していなかったことは明白である。

この原因を作ったのはとりわけ、「中華民族の偉大な復興」を国家目標として大軍拡を進め、台湾、尖閣、沖縄を狙い、西太平洋の覇権すなわち制空権、制海権の獲得を狙う習近平の中国である。

以上に述べた通り、東アジア・西太平洋地域の覇権を狙い、大軍拡に邁進し国際法を無視し力のみを信奉する核保有国である中国による「台湾有事」「尖閣有事」「沖縄有事」を有効に抑止するためには、日米同盟の強化とともに、岸田内閣が推進する反撃能力保有を含む防衛力強化が必要不可欠である。

「大軍拡反対」と称して国の存立と国民の命を守るための防衛力強化に反対し「平和外交」一辺倒の共産党では、中国・ロシア・北朝鮮の不法な侵略から日本国の存立と日本国民の命を守ることは不可能と言えよう。