黒坂岳央です。

何かと世間を騒がせているChatGPTはじめとした生成系AI。自分は完全に仕事にどっぷり活用しており、もうAIなしの仕事には戻ることができない生活を送っている。その一方、使いこなせない人もいる。先日、親族に頼まれて使い方を教えたが「世間が騒ぐほど全然役に立たないと感じる。もう使わない」といったフィードバックを受けた。

ChatGPTを上手に使える人、使いこなせない人の差は「質問力」にあると思っている。まるで呪文のようなコマンド、プロンプトを極めている人と、愚問愚答になっている人とでは埋めることができない大きな結果の差となって現れる。

そもそも、ChatGPT(以下AI)抜きで考えても、高度に情報化された現代において「質問力」は問題解決能力、人間関係、ひいては人生そのものでも差をつけてしまうほど大きな要素である。

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優秀なAIでも下手な質問には対応できない

愚問愚答、Garbage In, Garbage Outという言葉がある。どういう意味かというと「下手な質問や質の低いインプットをすれば、回答やアウトプットも質が低くなる」ということである。つまり、AIから出力される回答の質が低い、AIは役に立たないと感じる人が疑うべきはAIの才能ではなく、自分自身が出している問いの方である。どれだけ優秀なAIでも下手な質問に優れた回答を出すことはできないのだ。

これは人間相手への質問に対しても全く同じである。たとえば「英語を上達する方法を教えて」とか「人生を幸せに生きるには?」といった質問をもらっても、優れた回答を出すことは不可能に近い。せいぜい、「力のつく方法論で努力を長期的に積み重ねましょう」とか「感謝を忘れずにいきましょう」といった表面的であまり具体性のない回答しか出すことはできない。

これでは回答をもらった側も次に何をすればいいかアクションに困ってしまい、何の解決にもならない。目先の課題を解決するには、より具体的で何に困っているかを明確に言語化する力が求められる。

件の親族についていえば配偶者とミスコミュニケーションが頻発していることに悩んでいたらしく、「夫とのコミュニケーションのすれ違いはどうしたら解決する?」という趣旨の質問をしたところ、色々と一般論が返ってきたが、何も具体性がないと感じたようだ。

回答に具体性がないのは、質問が具体的でないからだ。この場合、質問するべきは具体的にどういったミスコミュニケーションが発生していて、自分はこういう想定をしていたが、実際にはその想定とどうズレていたか?ということまで書いて質問をすれば、より具体的なソリューションを得られたかもしれない。

つまり、ChatGPTを使って気に入らない回答が返ってきた場合は、自分自身の質問に問題があると認識して改善を測る絶好のフィードバックとして活用できるということでもある。自分自身はそうしている。何度か質問を変えてみたことで、最終的にしっかり求めていた回答が得られた経験が何度もあった。今ではAIへの質問のコツをかなり掴んだと思っている。そしてこれは人間関係におけるコミュニケーションアップにもつながる。