【偽情報対応におけるプラットフォーム事業者への規制のあり方】

次に、フェイクニュース対応に関するプラットフォーム事業者への規制のあり方についても一言申し上げます。

フランスでは、投票日の3ヶ月前に、偽情報が拡散されている場合、検察官、候補者等、利害関係者から求めを受けた裁判官は、プラットフォーム事業者に対して送信停止を命じることができ、裁判官は申立から48時間以内に停止に関する判断を行わなければならないとされています。

その一方、EU全体としては、欧州委員会はデジタルサービス法(DSA)においてもその位置付けが確認された「偽情報に関する行動規範」(the Code of Practice on Disinformation)を更新し、事業者の自主規制に委ねています。署名者は計34者となり、今年2月にはMeta、Google、Microsoft、TikTokなどを含む30の署名者が署名後初のレポートを提出しています。

我が国では、公的規制、自主規制を適切に組み合わせていくことが現実的なアプローチだと考えますが、例えば、2020年に成立した「デジタルプラットフォーム透明化法」のような間接規制の枠組みは参考になると思います。

同法の規制の枠組みは、「特定デジタルプラットフォーム提供者」に対して、自主的な体制整備を自己評価した報告書の提出を義務づけ、それを行政庁がレビューする仕組みです。規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」(co-regulatory agreements)の手法を採用し、国の関与や規制を必要最小限のものとしています。

いずれにしても、誰でも発信者になれるインターネット空間においては、誰でも発信者になれるため、テレビと全く同じ規制は現実的ではなく、インターネットの特性を活かした規制とすべきであり、その際、プラットフォーム事業者の規制のあり方をどう整理するのかについて合意を得ることが必要です。

【3つの提案】

終わりに、今後の運営について3つ提案します。

まず、インターネットを使った広報を含む「国民投票広報協議会」の具体的な役割について定めた「規定の原案」の作成を事務局にお願いします。

次に、次回が今国会最後の憲法審査会であることから、これまで議論が積み上がってきた緊急事態条項、とりわけ議員任期の延長などについて、改めて各党・各会派の意見をまとめた論点整理を行い、今国会における衆議院憲法審査会としての意見の集約を図るべきです。事務局への作業の指示、森会長の取りはからいをお願いします。

最後に、緊急集会のあり方については、国会法102条の8に規定する、参議院との合同審査会を、ぜひ開催して合意形成をはかっていくべきです。しかし、同条3項で、合同審査会を開催するためには、両議院の決議によって合同審査会規則を定めることになっているので、この規則案の策定についても、森会長から事務局に指示を出してください。

次回は今国会最後の憲法審査会。せっかく、これだけの時間をかけて議論を積み上げてきたわけだから、言いっぱなしではなく、緊急事態条項について改めて論点を整理し、合意点を確認し、成果を一つ一つピン留めすることをお願いします。

編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2023年6月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。