「就活時の服装はもっと個を尊重すべきだ」という署名運動が話題となっています。
素晴らしい主張だと思いますね!学生は企業に対しもっともっと要望を主張すべきだというのが昔から筆者の変わらぬ主張なので、全面的に支持します。
ただ、一つだけ疑問もあります。
「で、それをどこの誰に要求してるの?」
そういえば就活の服装、いわゆるリクルートスーツというものは、いつだれが決めたんでしょうか。 たまにリクスーぽくないスーツ着てる人もいますが、ああいう人達は人事部的にどういう扱いになってるんでしょうか。
いい機会なのでまとめてみたいと思います。
実は昔から一貫してかなり自由だった企業側の基準「学生のスーツはかくかくしかじかであるべし」みたいな基準が明文化され、面接者間で共有されているようなケースを、筆者は一度も聞いたことがありません。
おそらく「清潔感と品位があり、社会人として常識的な範囲内の服装かどうか」くらいの基準がそれぞれの面接者の頭の中にあって、それに従って判断しているはず。
じゃあそれがどのくらい厳しいのかというと、非常に緩やかな基準だというのが筆者の意見です。普通にそのあたり歩いてるサラリーマンが着ているレベルのものなら問題ないでしょう。
筆者自身、90年代半ばから紺や黒以外にもグレーやチョークストライプといったスーツの就活生を見てきましたが、それでマイナス影響があった人は一人も知らないですね。
スーツやシャツの色を気にしてたのって90年代までの都銀くらいじゃないでしょうか。
あと女性のパンツスーツはNG説というのは一度もそういってる人事担当に会ったこと無いです。これはホントに単なる誤解、都市伝説レベルの話でしょう。
では、なぜ現在、一目で「あ、就活だな」とわかるほどの画一性が確立したんでしょうか。筆者は以下の2点が大きいと見ています。
・長く続いた就職氷河期で学生が忖度したから
50歳以上の人たちなら記憶にあるでしょうが、1990年前後のいわゆるバブル期のリクスーは、今と比べると相当に華やかなものでした。
それがバブル崩壊後、就職氷河期に入ると一変し、男女ともにお通夜みたいなモノクロのトーンに染まります。
なぜか。かつて誰も経験したことの無いような壮絶な買い手市場に一変したため、学生がひたすら個を封じて企業に忖度したためですね。
まあ確かに90年代半ばにもなって「肩パッド入りのスーツ」とか着て来たら別の意味で痛い奴と思われたかもしれませんが。