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いかにもヨーロッパ的なコンセプトのPHEVミニバン
前後観音開きバタフライドアはショールームに最適
いかにもヨーロッパ的なコンセプトのPHEVミニバン

出典:flickr.com Author:Rutger van der Maar CC BY 2.0、『MOBY』より引用)
日本人として誇り高き人々によれば、「ハイブリッドカーの技術は日本がトップ、出遅れたヨーロッパはハイブリッドじゃ勝てないから急にBEVなど推進し始めた」という事のようですが、ヨーロッパの自動車メーカーはハイブリッドを作らなかったわけではありません。
単に日本の交通事情(せいぜい120km/h巡航で大半はノロノロした下道と渋滞)に合ったクルマを作っていないので日本市場へ積極的に導入しなかっただけで、調べると案外普通に売っていたりするのですが、今回紹介するプジョー HX1コンセプトもそんな1台。
ディーゼルPHEVの「HYBRID4(PSAハイブリッドとも言う)」という、ヨーロッパならではのシステムを採用し、かつてのホンダ オデッセイ顔負けなペタンコぶりを発揮する、これでも3列シート6人乗りミニバンのコンセプトカーです。
前後観音開きバタフライドアはショールームに最適

出典:flickr.com Author:Rutger van der Maar CC BY 2.0、『MOBY』より引用)
いかに3~4代目のホンダ オデッセイに馴染みがあり、何ならハイルーフでスライドドアつきミニバン全盛期にあえてスポーツミニバンを欲しいという根強いユーザー層が存在する日本人でも、このクルマを見て「3列シート6人乗りミニバン」とは考えにくいでしょう。
しかしプジョーが2011年のフランクフルトモーターショーで発表した「HX1コンセプト」は3列シート6人乗りミニバンであり、しかもどこかのスーパーカーから切った貼ったしたような、前後観音開きバタフライドアを持つという、変わったクルマです。
大開口部を実現する大型の電動スライドドアとどっちが重いか…はさておき、確かに開口部面積こそ広いものの、どれだけ開けても前後ドアのちょうど中間部以外は乗降性良好とは思えず、おそらくは中をよく見せるためのショーカー的ギミックに過ぎません。
こんなドアを採用するメリットとしては、ショーの会場で注目を浴びるほか、「変わったドアを採用したクルマ◯選!」というタイトルで、WEBメディアに繰り返し紹介されるくらいかな…というのが正直なところ。
たぶん、当時プジョーが販売していた3列シート7人乗りミニバン、「5008」(初代)の次期モデルで方向性を定めるためのデザインスタディを兼ねていると思いますが、当の5008は2代目(2017年)で時流に乗った3列シートSUVになってしまいました。
さすがのフランス人も、ミニバン…ヨーロッパ的にはMPVであまり凝った事をするより、素直に世界的に売れているSUVにした方が良かったのでしょう。
それにしても、ミニバンにF1用V10エンジンを積んだ「ルノー エスパスF1」(1995年)と並び、ミニバン史上屈指の「珍車」として歴史に残ることは、間違いありません。