昨今ますます進化を遂げているAIによって近い将来に“ターミネーター”の世界はやってくるのか。我々の近未来にはAI(人工知能)に支配されたディストピアが待っているのだろうか――。

“AI時代”の行く末はディストピアなのか

ご存じのように「ChatGPT」などの登場によって目に見える形でAIの進歩を実感できるという、これまでになかった事態を迎えている。人類史上、その時々で多くの技術革新がもたらされてきたが、現在がすでに“AI時代”に突入していることはもはや否定のしようがない。

今後さらに進むAIの進歩と普及によって多くの職業が失われたり、人員の大幅な縮小を余儀なくされることが規定路線となっている。さらにはAIがフェイクニュースを生成して勝手に広めたり、ある人物に成りすまして詐欺的行為を行ったりするなどの懸念を指摘する声も少なくない。

また人類滅亡を目指すAIがすでに運用されているという話もあり、まさにSF映画『ターミネーター』の世界のようにAIが人類に牙を剥く日がやって来るのだろうか。

イーロン・マスク氏をはじめとする一部の識者からAIの開発と普及拡大をいったん停止せよという声があがったことも記憶に新しいが、この先、AIが人間社会を絶望的なディストピアにしてしまうというのか。

ベンチャーキャピタリストでブロガーのロイット・クリシュナン氏は合理的な楽観主義者として、AIによるディストピアな未来を完全に否定し、AIの開発と普及を規制してはならないと主張している。

合理的楽観主義者が「AIによる人類の終焉」を信じない理由とは?
(画像=「Big Think」の記事より、『TOCANA』より引用)

クリシュナン氏はAIにまつわる問題を整理している。

まずは現在の問題、中期的な問題、そして将来的な問題の3つの時間軸を設定し、問題の内容を4つに分類した。その4つは以下の通り。

1.技術的な障害:AIが意図したとおりに動作しない。

2.ソフトウェアの誤用:悪意ある者が悪い目的のためにAIを使うこと。

3.社会的外部性:AI導入による予期せぬ影響。

4.ソフトウェアの動作の不具合:AIが自律的に害を及ぼす。

これらの問題に対処するソリューションには、AIに起因するソリューションと、技術と規制によるソリューションの2種類がある。そしてクリシュナン氏はそのいずれもが合理的に対処可能であると説明している。我々は現在実際に直面している問題と、遠い将来の推測的な問題を混同しているのであり、危ぶむ人々は今日の解決策と将来の解決策を混同しているということだ。

合理的楽観主義者が「AIによる人類の終焉」を信じない理由とは?
(画像=画像は「Pixabay」より、『TOCANA』より引用)