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危険な動物たちの痕跡
先史時代にこの場所で何があったのか?

危険な動物たちの痕跡

1万年以上前の「母と子どもの足跡の化石」から親子がたどった旅路が明らかに
(画像=氷河期に生存していたオオナマケモノ「メガロにクス」。 / Credit:depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

この時代の同地域には、地上を徘徊した巨大なナマケモノ「メガロニクス」や、マンモス、サーベルタイガー、ダイヤウルフなど体の大きな危険な獣の足跡も見つかっています。

マンモスの足跡の周りで遊ぶ子供の足跡なども、この地域では見つかっています。

そして今回の足跡の往路には、人間が歩き去ったあとにその上を通り過ぎたマンモスとオオナマケモノの足跡が残っていました。

マンモスは人間の足跡に気付かなかったようで、そのまま通り過ぎていましたが、地面を這うオオナマケモノは人間の匂いと足跡に気づいたようで、足跡の匂いを嗅ぎ回るようにぐるぐると回った後、後ろ足で立ち上がり周囲の匂いを嗅いでいたようです。

この時代のオオナマケモノは、現代とは違い牛以上のサイズがあったとされています。

足跡の主は、数時間後そんなマンモスやオオナマケモノの横切った足跡を踏み越えて帰ってきたようです。

先史時代にこの場所で何があったのか?

巨大な獣も徘徊する危険な荒野を、おそらく小柄な母親は子供を抱えて足早に真っ直ぐ突き進んでいたようです。地面がぬかるんでいたことから、天気も悪かった可能性があります。

そんな中、この人物は何のために一体どこへ向かっていたのでしょう?

子供は病気だったのでしょうか? 集落を追い出されたのでしょうか? なぜ1人で帰ってきたのでしょう?

ただの足跡からわかる事実は意外と多くあります。研究者たちはその僅かな痕跡から、古代の生物の生態、人々の暮らし、その場所で起きた小さなドラマまでさまざまな推測を行います。

この足跡の主が腕から腕へと子供を抱え直しながら、足早になにかから逃げようとしていた可能性は高いでしょう。

しかし、この足跡の主に何があったのか、その真相を知る証拠はもはや残されていません。私たちはただ、この足跡から古代の出来事に想像を巡らせるしかないようです。


参考文献

Bournemouth University


提供元・ナゾロジー

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