黒坂岳央です。

昨今、ムダを省こうという意見をあちこちで見るようになった。確かに仕事をする上でのコストや時間のムダは悪であり、非効率さは悪という発想は正しいと思う。

仕事は徹底的に利益を追求し続けることが奨励されるゲームであり、コスパの概念があるからこそ会社員、企業経営者やフリーランサーは競争力が高まるし結果的に社会全体に富となって還元される。

しかし、こと人生そのものにコスパ教の概念を持ち込んでしまうと不幸になると思うのだ。

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人生にコスパを持ち込むと不幸になる

すべてがそうだとはいわないが、人生の生き方にコスパという概念を持ち込むと不幸を生み出す瞬間がある。それはあらゆる娯楽や贅沢の否定につながるからである。

筆者は昔はとにかく貧乏性(というか実際に貧乏だったが)で、旅行にいってもできるだけ安い宿、安い食事、コストのかからない観光地ばかりにいっていた。創意工夫でケチる旅にも、楽しい要素はあったのは確かだ。しかし、せっかくめったに行くことのできない遠出をしたのだから、気になったものは経験して帰ればよかったという想いはその後もずっと後悔として残った。

また、「とにかく最低限使えればいい」ということで安いガジェットや仕事道具を買うのもおすすめしない。本当は心から欲しい物を買わずに妥協しているので、安さだけで選んだ商品に愛着が湧くことはない。結果、雑に使ってしまったり、性能不足で結局買い直すことになる。

自分は最近、毎日使用するものや仕事で使うものはコスパを意識しすぎず、とにかくいいものを買うようにしている。やっぱり値段が高いものは質も伴う事が多いし大事に使うので長持ちする。トータルで見るとコスパが良かったという結果になることが多い。

コスパを意識しすぎると返ってコスパが悪くなることも多く、心の充足から遠ざかってしまうと思うのだ。