G7諸国は一部の中国製品に対して高関税をかけるなどして規制をかけています。中国はそれを逃れるため、最終生産地を東南アジア諸国に移管しているのです。ベトナムはその一つ。つまり、中国からベトナム向け半製品の輸出が急増し、ベトナムからアメリカなどの先進国向け輸出が爆増するのです。またベトナムはTPP11に入っているし、TPP加盟国ではない対アメリカ貿易は全体の3割弱を占める最大の輸出相手国なのです。その上、韓国のベトナムへの直接投資も非常に多く、同国は急速に発展し、労働者の得る賃金も当然ながら上昇、一部のケースでは日本をしのぐ状態になっているのです。

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今年の春闘は大手企業が賃上げを断行したこともあり、「物価が上がったから賃金が上がる」というサイクルから「賃金を引き上げ、日本経済の基礎体力を強化する」動きが多少見えてきました。ユニクロが大幅な賃上げをした背景には出店先である東南アジア諸国の方が元気がある、と柳井さんが気がついたからでしょう。そう、日本は「ゆでガエル」になりつつあったのです。