ポイントはセットプレーのデザイン力
セットプレーが試合の勝敗を分けることはある一定の割合で存在する。同試合はまさしくセットプレーによって勝敗が分かれたと言っていい。両チームの総得点「3」のうち、2得点がセットプレーから生まれたものだった。セットプレーは、シチュエーション別で事前に準備することが可能だ。
福岡はコーナーキック時のG大阪の弱点を見抜いていた。ゾーンマークをメインとし、一部にマンマークを付けるG大阪。マンマークさえ外すことができればフリーでシュートを打つことができる。そのパターンで先制点を挙げた福岡。後半も山岸がフリーになるシーンが2度あり、そこを決めきれていれば試合結果は変わっていただろう。
一方、G大阪はコーナーキック以外にフリーキックもデザインしていた。逆転シーンがそれを象徴する。当初中で構えていたダワンは、山本が助走に入ると一気に大外へ。これでフリーとなり、ヘディングが強い三浦をあえて遅らせて入ることで、シュートを打つことができた。
フリーキックまでもデザインするのは労力がかかり、選手の負担も大きい。そこを惜しまず準備してきたG大阪が、今節の勝利に繋げたと言える。
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MOMはGK東口順昭
同試合のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)にはG大阪のGK東口順昭を選出する。福岡にコーナーキックからの決定機を何度も作られるも、阻止した東口。後半28分のコーナーキックは佐藤がなんとかクリアしたが、佐藤がいなくても東口が阻止していただろう。
また、後半最大の福岡の決定機であった山岸との1対1のシーン。東口は一度右足を半歩ステップすることで、山岸のシュートコースを消した。この半歩で山岸は左のシュートコースを切られ、右しかシュートする選択がなくなる。左右からG大阪ディフェンスが来ているため、強いシュートは打てず。結果、山岸はコントロールシュートしかできず、枠外へ外すことになった。東口の半歩足を運ぶ技術が、失点を防いだのだ。