この悲嘆な事件を巻き起こしているのはカルテルとその下請け的な暴力組織である。彼らが殺しあいをやって縄張り争いをしているのである。更に彼らの犯罪を暴くジャーナリストや政治権力者で彼らの活動を阻止しようとする政治家も殺害の対象にされている。一方、カルテルに協力している軍人や警官もいる。

そして一般の市民も巻添えにさらされたりするのである。市民が行方不明になっても最初は信頼ある仲間同士で解決しようとする。警察に届け出るのは最後の手段だ。なぜなら警察もその犯罪に絡んでいるかもしれないからである。

ジャーナリストは自分の死を懸けて報道に勤しんでいる

殺害事件が最も多い州の2021年度のランキングの上位10州は以下の通りである。

1位:メキシコ自治州(3719人)、2位:グアナフアト(3673)、3位:ミチョアカン(3283)、4位:バハ・カリフォルニア(3207)、5位:ハリスコ(2743)、6位:チウアウア(2384)、7位:ベラクルス(2063)、8位:ソノラ(1968)、9位:オアチャカ(1717)、10位:ヌエボ・レオン(1688)となっている。

例えば、メキシコ自治州だとひと月に310人が殺害されていることになる。即ち、毎日一人が殺害されていることになる。(Statistaから引用)。

一般市民で標的にされているジャーナリストの場合、彼らに護衛をつけたくても予算の関係で十分に護衛できない状態が続いているというのが現状だ。昨年は17人のジャーナリストが殺害された。今年は5月までに既に5人が同じ運命を辿っている。特にカルテルに関係した報道をしているジャーナリストは死を覚悟して仕事に就いているというのが現状だ。(6月1日付「SDPのノティシアス」から引用)。

隣国米国で巨大な麻薬市場がある限り、メキシコでカルテルの犯行にやる殺害事件は止むことなく続くのである。