スペインのローマ・カトリック教会は1日、同国の聖職者による未成年者への性的虐待に関する報告書を公表した。それによると、1945年以来、性的虐待を受けた未成年者は少なくとも927人だった。人口の約70%がカトリック教徒のスぺインはフランスやポルトガルなどと共に欧州の代表的なカトリック教国だ。バチカン・ニュースは2日、「スぺイン、教会の新しい性的虐待報告書」という見出しで報道した。

聖職者の性的虐待問題が発覚したドイツのフライブルク大司教区の教会(バチカン・ニュースから、2023年4月19日)
スペイン司教会議のセサール・ガルシア・マガン事務総長は1日夜の報告書の発表会で、「私たちは痛みと恥辱を感じている」と述べ、「スペインの教会における聖職者の性的虐待の惨劇を終わらせるためには、まだ多くのことを行う必要がある」と強調している。
同国司教会議によると、「これは最終的な数字ではなく、2019年以降に特別に設立された教会苦情事務所によって記録された事件のみが含まれている。司教らの委託を受けた法律事務所は現在、全国的な虐待調査を行っており、被害者の数は大幅に増えるだろうと予想している」という。
今回発表された調査によると、1940年代以来、728人の教会関係者が未成年者への性的虐待の容疑で告発された。事件の75%は1990年以前に発生した。容疑者のほとんどは既に死亡した。情報によると、加害者はほぼ男性(99%)であり、被害者のほとんどは少年(82%)だった。
一方、加害者のうち、378人は神父で、208人は叙階されていない修道者、92人は信徒だった。その他のケースについては、正確な状況は依然明らかになっていない。登録されている性的虐待事件のほとんどは、学校、セミナー、寄宿学校で発生したという。
欧州はキリスト教文化圏に属するが、その中でもアイルランド、フランス、ポルトガル、オーストリア、イタリアなどは伝統的なカトリック教国だ。国民の半数以上がカトリック教会に所属している国という意味だ。そして残念ながら、欧州のカトリック教国では今回のスぺイン教会のように聖職者の未成年者への性的虐待事件が多発し、教会の内外の信頼を失っている。
スぺイン教会の「性的虐待報告書」が公表される4カ月前の2月13日、ポルトガル教会の聖職者の性犯罪を調査する「独立調査委員会」の最終報告書が発表された。それによると、過去70年間で少なくとも4815人の子供たちが聖職者たちから性的虐待を受けている。独立調査委員会(6人構成)の議長、児童精神科医のペドロ・ストレヒト氏は、「500人以上の犠牲者から聞き取りをしてきた。実際の犠牲者数はもっと多いと予想している」という(「ポルトガル教会よ、お前もか!!」2023年2月15日参考)。