泳ぐ「スピード」も、主食に関係している
では、体が小さいイルカやシャチは、プランクトンで十分な栄養を摂取できないため、泣く泣く魚を食べているのでしょうか?
いえ、彼らには「スピード」という武器あるため、プランクトン以外の生物を狩ることができます。
そのため、プランクトンよりも大きな魚を狙うことができるため、それらを主食にしているのです。
一方で、シロナガスクジラの泳ぐスピードはどうでしょうか?
体が大きくなった分、彼らは俊敏な動きをすることができません。そのため、速く泳ぐ魚を狩るのは不得意としています。
捕まえるのが不得意な魚を主食としてしまったら、どうでしょう?
彼らは自分の大きな体を維持するためのエネルギーが十分に得られず、飢え死にしてしまうでしょう。
つまり、大きな海洋生物は俊敏な動きができないため、「プランクトンでないと、捕食できない」という理由もあるのです。
大きい動物、小さい動物の主食の比較

「体の大きい生物ほど、個体数が多く、動かないものを主食としている」法則は、実は陸上でも同じです。
例えば、ライオン、チーター、ゾウ、サイ、スイギュウのうち体が大きいのはどの動物でしょう?
そうです、ゾウ、サイ、スイギュウなど後者の動物になります。
彼らは、草を主食とする草食動物なのです。体の大きなジンベエザメ等と同じように、量が豊富にあり、動きも少ないものを主食にしているということです。
一見、「体の大きな生物ほど、小さい生物を食べる」というのは栄養効率が悪いように感じますが、むしろそれは効率が良いことなのですね。
私たちの生活でも、ユーグレナなどのプランクトンが、栄養補助食品、バイオ燃料の分野で利用され始めています。
我々人間の生活にも、プランクトンが欠かせなくなる未来が来るのかもしれません。
参考文献
Size Matters: If Minke Whales Were Smaller, They Could Not Survive, UNIVERSITY OF CALIFORNIA, SANTA CRUZ
南極海における主要ナガスクジラ科鯨類の資源動態, 東京海洋大学 袴田高志(PDF)
同位体で解く世界最大の魚ジンベエザメの採餌生態の謎, 東京大学 沖縄美ら島財団 海洋研究開発機構 科学技術振興機構
元論文
Minke whale feeding rate limitations suggest constraints on the minimum body size for engulfment filtration feeding
The characteristics of krill swarms in relation to aggregating Antarctic blue whales