しかし、そもそもに無理があったと思います。首相の政務担当秘書官と言えばトップ中のトップの一人。私も民間企業で秘書をしましたが、お仕えしたボスは海軍兵学校の教官経験者を父に持ち、竹下元総理の秘書官経験者でしたので日々「むち打ちの刑」ぐらいの試練でした。「秘書官たるものは…」と叩き込まれ、おしっこがちびっちゃうほど厳しいものでした。今の時代、そんな話をしても「はぁ?」でしょうし、逆に「コンプラ上、問題じゃないですか?」ぐらい平気で言われるでしょう。もちろん、長男君も部署内で大事に扱われたことと察します。
親のしつけは厳しく、メリハリをつけ、信賞必罰であることが大事です。ただ、政務秘書官というポストは高橋洋一氏に言わせば「大臣ぐらいのポジション」につくということでそこで力を発揮すれば上があるけれど失敗したら「振出しに戻る」なのです。お母ちゃんはそこがわからなくて「息子を特急列車で格上げさせて」と懇願したのは世間知らずと解されても仕方がない気がします。もう一つ、あの階段で寝転ぶいとこもいとこだと思いますけどね。家系の品格も併せて疑いますがね。

岸田首相と岸田翔太郎氏 NHKより
「勧善懲悪」は日本人もアメリカ人も大好きです。劣勢に立たされている正しい方が最後に悪者をやっつけるとスカッとするというのは洋の東西を問いません。これがドラマや小説の世界ならいいのですが、現実となれば話は別。先般のG7でゼレンスキー大統領がサプライズで参加したのは一連の会議成功の一幕とされますが、一方でG7の会議を早々に終わらせ、同大統領を最終日に招いたのは衆目がゼレンスキー氏に向かうだろうという予想があったからです。正直、G7諸国はここにきてお株を奪われることに若干の抵抗があるように見えます。
そのゼレンスキー氏、今度はウクライナの隣国、モルドバで開催された「欧州政治共同体」会議に飛び入り参加し、同国がNATOに加盟するまで同国に安全保障を提供して欲しいと迫りました。欧州ではフランスとドイツの同国支援に関する温度差が明白になっている一方、支援積極派のマクロン氏も和平調停を画策しています。つまり、懲り懲りというのが目に見えています。大前研一氏が「ウクライナは(第2代)クチマ大統領の頃から汚職が多い国家」と述べていますが、たぶん、論客たちはそういう理解者が多いと思います。日本の支援は兵器など殺戮に関することができないので人道支援が主流なのでこれは最善の策だと思います。
言葉を慎まねばならないのですが、私はゼレンスキー氏が営業マンに見えてしょうがないのです。かつてはショーマンでした。そして映画の主人公でヒットし、本当に大統領になり、映画の世界のようなトラブルに巻き込まれたことは悲惨でありますが、その過程において同国が独立後歩んできた道のりにも相当の瑕疵があったのだろうと推測しています。それを踏まえた上で同大統領のこれ以上の支援要請は世界を醒めさせるのではないか、という懸念はあります。双方、「玉切れ停戦」がベストなのですが。
後記 世界各地で開催されるArt Walkですが、バンクーバーにもあり、今年は30周年でした。売り出し中の画家が期間中、作品を街中の様々なところで展示するものでコミュニティにも良く溶け込んでいます。そのイベントに私の知り合い、と言っても80歳を超えている方ですが、出展されていて今年初めてお邪魔をしました。とても素敵な絵をお描きになっていて一枚購入させて頂きましたが、それ以上に絵を描くことで生きがいを感じていらっしゃるその姿にとても感動しました。やりがいを持つ人生、大事ですね。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年6月3日の記事より転載させていただきました。