建設するとトラブル発生も

 ただ、やはりデメリットと認めざるを得ない面も存在する。

「まず、朝の通勤ラッシュの時間帯などを中心に、エレベーターが混み合っていて外出に時間がかかるケースは非常に多いです。またタワマンに住んでいると、天気の感覚がまったくつかめません。たとえば、一戸建てに住んでいれば雨の音はわかるものなのですが、タワマンに住んでいると地上の天気がわからず、エントランスに降りて初めて雨に気づく、というパターンも珍しくありません。しかも、傘を取りに行こうにもエレベーターが混み合っているので、不便さを感じてしまうことはあるでしょう。ほかにも管理費の高さもデメリットと感じる方が少なくないと思います。管理費は一般のマンションで1万円から1万5000円程度のことが多いのに、タワマンでは3万円以上になるのが普通です。管理費の高さはタワマンならではのデメリットですので、住むのであればそういうものだと割り切るしかないでしょうね」(同)

 メリット、デメリットどちらも踏まえたうえで、ある程度資金力があって駅近に住みたいと思っている人には、タワマンはうってつけの物件といえるという。

「実際に住むとなると日常的な面で不便さがあるのは事実ですが、立地的な面でいうとタワマンは確かに便利なので、買い物や公共交通での利便性を重視する方にはおすすめできる物件ですね。特に地方都市のシニア層だと、一戸建てに住んでいると買い物も通院も不便ということがあるので、駅近くのタワマンのほうが安心して暮らせる場合もあり得ます。何らかの事情で手放すにしても、比較的高く売却できるかと思いますので、実は銀行にお金を預けるよりも資産運用として有効活用できるともいえるかもしれませんね」(同)

 一方でタワマン建設がもたらす周囲への悪影響も無視できない。

「地上20階以上で、50階以上になることもあるため、周辺の住宅地は日当たりが悪くなってしまいがち。近隣との軋轢を避けたい人は、建設地を慎重に検討すべきでしょう。またタワマン付近は同様に背の高い建物が増える可能性があるため、景観が損なわれる場合もあります。現にかつて富士山が見えたのに、他のタワマンが建ったことで見えなくなったというケースは多いものです。余談ですが、イギリスのロンドン中心地でテムズ川周辺などはタワマン建設が盛んになり、従来の伝統的な住居スタイルが変化しつつあります。タワマンの建設は引き続き行われるでしょうが、伝統的な価値観や近隣の人々との摩擦を防ぐことも求められるのではないでしょうか」(同)

――さまざまな立場の意見、主張があるため一元的にタワマンをいいか悪いかで判断することは難しい。住む人を選ぶ物件だとはいえるだろうが、資産価値が下がりにくいといったメリットも踏まえ、デメリットも受け入れられるのであれば、購入を前向きに検討してみてもいいのかもしれない。

(取材・文=文月/A4studio、協力=櫻井幸雄/住宅評論家)

提供元・Business Journal

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