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ハマー3兄弟の末っ子は「アメリカ版パジェロミニ」
GMがいよいよ「ハマー」ブランドへ本腰を入れたモデル
「ハマー」ブランドの高品質な世界戦略車
ハマー3兄弟の末っ子は「アメリカ版パジェロミニ」

若者向けピックアップトラックがベースとはいえ、悪路走破性はH2にも劣らない実力を誇るハマーH3
有名ブランドSUVの縮小版といえば日本では三菱のパジェロミニやデリカミニ、いずれも軽自動車で実現されていますが、アメリカ人も同じような考え方でハマーH1/H2の縮小版を作ってみた…というのが、ハマーH3です。
日本では小さくもないサイズとはいえ、アメリカでは学生向け小型ピックアップトラック、シボレー コロラドがベースなので、まさに「アメリカ版パジェロミニ」と言ってよいでしょう。
しかし、ハマーのカタチをしたがゆえの意外に良好な悪路走破性や、ハマーブランドの世界戦略車的位置づけという事もあり、アメ車らしからぬ実力も持っている、なかなかオトクなSUVでした。
GMがいよいよ「ハマー」ブランドへ本腰を入れたモデル

過剰すぎるタフさのH1、豪華すぎるH2に対し、普及モデルとして小型で安価が魅力だったH3
軍用高機動車の「ハンヴィー」をベースに、メーカーのAMゼネラルが民生需要を狙ったのが元祖「ハマー」で、人気はあったものの過剰な軍用スペックで販売台数は今ひとつだったところ、有効活用を思いついたGMが「ハマー」ブランドを買い取ります。
GMの元でハマー改め「ハマーH1」となった民生用ハンヴィーとは別に、軍用イメージのゴツいデザインはそのままに、中身は市販SUVベースで快適性や実用性を高めたのが「ハマーH2」で、GMの目論見どおりにヒット作となりました。
ただ、「豪勢なワゴン型SUV」というだけではまだまだ高価ですし、アメリカ国外で売るにはH1とあまり変わらぬ寸法がデカすぎたのも確かだったので、あえてアメ車的な作りを捨てて、「世界中どこでも手頃に使えるハマー」として開発したのがH3でした。
ベースはGMグループ内に数多くの姉妹車を持ち、いすゞ D-MAX(初代)とも親戚関係にあるシボレー コロラドという小型ピックアップ。
ハマーらしい車体形状と、それゆえの高い悪路走破性に合わせてラダーフレームやサスペンションは強化、2.2tほどへ増加した重量に対してベース車同様の3.5~3.7リッター直5DOHCエンジンではやや力不足で、後に5.3リッターV8の「H3アルファ」が追加されました。
ただしV8のH3アルファはパワフルな代わりにかなり高額で、「H2を買う金銭的余裕はあるけど、大きすぎるからパワフルなH3があれば」というニッチ層向けだったようです。
2005年に発売されたH3は、GMの予想通りに「小型の廉価版ハマー」としてH2以上の販売台数を記録し、ハマーブランドの普及には大きく貢献しましたが、原油価格高騰に世界金融危機も追い打ちをかけ、2007~2008年にかけ販売台数は大幅に減少。
ダブルキャブ・ピックアップ版のH3T(2008年追加)もテコ入れにはならず、2009年に経営破綻して国有化、再建を図ったGMによって「ハマー」ブランド自体が整理されてしまい、2010年に生産を終えるという、意外な短命モデルとなってしまいました。