日本経済は今だけを見れば相対的にも絶対的にも悪くないと思います。株価の上昇がそれを裏付けていますが、本格的なバブルになるとは思っていません。ミニバブル程度ではないかと察しています。

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バブル経済の絶対必要条件は土地、不動産価格の上昇です。これは金額自体が大きいこと、個人法人を問わず、需要があること、いったん上昇し始めると比較的長いトレンド形成をすることが上げられます。
ある地域に一戸当たり平均1億円もする高級マンションが売り出されたとします。すると不思議なことにそのマンションの周辺の住宅も値上がりするのです。事実、不動産鑑定の手法の一つに「近隣相場の比較」があり、ある一点だけが特別高い不動産価格は原則なく、必ず一定の周辺地域に波及するという発想です。国交省や国税庁が調査する不動産価格の調査も点や線の調査から類推するようになっています。
よって家の周りに高額のマンションがどんどん建つとか戸建て住宅の取引が活発で以前より2割、3割上昇しているという場合、自分の家もほぼ間違いなく同等の値上がりをしているのです。
では80年代バブルの時、本当に皆さん、あぶく銭まみれだったのでしょうか?否です。あの時の演出は法人の接待費、不動産と株式の高騰、更には派生的にゴルフ会員権や絵画なども大きく上昇しました。が、多くの庶民には無縁だったのです。ただ、「おこぼれ」があったことは事実です。会社の景気が良く、社費での集まりや交際費で飲食出来ました。賞与も多かったでしょう。むしろ忙しすぎてお金を使う時間すらなかった、だから割と皆、お金をパッパ使ったのです。今、コロナ明けで金払いが良いのと同じです。
自分の家の不動産評価額が爆上げして「儲かった気分」になった人も多かったです。しかし、自分の家が一つしかない限りそれが3千万円だろうが1億円だろうが普通は換金できない訳で「取らぬ狸の皮算用」だったのです。だけど、世の中の雰囲気が良かったので浮かれていた、それが庶民レベルのバブル経済だったのです。問題はバブルで膨れ上がった資産価値を担保に融資を受けた人が極めて大きな打撃を受けたわけで、その点は一般庶民はそのような借り入れをした人は少なかったでしょうから個人破綻は少なかったともいえます。
今回の不動産価格の推移を見ると見事に安倍政権が発足した12年暮れぐらいから上昇が始まり、現在までほぼまっすぐ右肩上がりです。特に日本の場合はマンション需要が高いため、指数でみると12年暮れを100とすれば現在180ぐらいになっています。マンションは10年でほぼ8割高と言うことになります。ちなみに戸建ては2-3割上昇ぐらいです。