この地で滅びた“ラストピープル”なのか

他民族や他文化と積極的に交流しながらも、遺伝的には“純潔”を保っていた民族がかつて存在していたというのは興味深いが、はたしてそんなことが可能なのだろうか?

中央アジア地域の遺伝子サンプルの研究に携わってきたテキサス大学オースティン校の遺伝学者、ヴァギーシュ・ナラシマン氏は、ある集団が遺伝的に孤立していても、文化的に国際的であることは可能であると説明している。

アジアで見つかった「白人ミイラ」の謎! 4000年前に孤立した集団が存在か
(画像=タリム盆地 画像は「Wikimedia Commons」より、『TOCANA』より引用)

「遺伝学が常に文化や言語の交流と密接に関係している必要はありません。人々は、人口の移動や入れ替わりがなくても、農業や金属加工など、他の集団から新しい技術を取り入れたり、葬儀の習慣などを変えたりすることができます」(ナラシマン氏)

もちろんタリム盆地周辺の古代人の遺伝子サンプルはまだまだ限定的であり、4000年前のタリム盆地の人々が本当に孤立していたのかどうか予断は禁物なのだが、気になるのはミイラが牛の皮で覆われ、オールのある木製ボートに埋葬されていたことである。タクラマカン砂漠に囲まれた内陸部のタリム盆地で何故、海洋民族を彷彿させる特徴が示されているのか。この地域の他のエリアでは見られないユニークな埋葬様式なのである。

ワシントン大学人類学教授マイケル・フラケッティ氏によれば、これに似た埋葬様式を持つのは海洋民族であるヴァイキングだということだが、砂漠の民がこのような埋葬様式を持つのは前代未聞であるという。とすれば4000年前のタリム盆地の人々はこの地で滅びた最後の民族系統であった可能性も浮上してくる。しかしそうであればこれらのミイラを埋葬した人々はどこへ行ったのだろうか。

あるいは解釈の視野を広げてみるならばタリム盆地のミイラは時代と場所から逸脱した“オーパーツ”的なミイラということになるのかもしれない。いずれにせよ謎は深まるばかりであり、今後の研究の進展に期待するしかなさそうだ。

参考:「Ancient Origins」「CNN」ほか

文=仲田しんじ

提供元・TOCANA

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
航空機から撮影された「UFO動画」が公開される! “フェニックスの光”に似た奇妙な4つの発光体
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
ネッシーは巨大ウナギではない! 統計的調査結果から数学者が正体を予測
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?