
2022年、トヨタは世界で最も売れている自動車メーカーとなり、新車の乗用車100台のうち13台を占めた。米国と日本を上回る最大の市場となった中国での好調な業績により、世界でのマーケットシェアを0.3%ポイント増加させることができた。この結果は、トヨタがハイブリッド車とSUVの両方で充実したモデルラインアップを提供していることによるもので、2022年には、トヨタはフォルクスワーゲングループを抜いて、世界で最も売れているSUVメーカーに浮上した。

フォルクスワーゲングループは、2021年同様、トヨタに次ぐ2位を確保したが、台数は10%減少し、シェアは0.7%ポイント減少した。同社にとって第二の市場である中国では、現地での競争激化により販売台数が6%減少したが、中国、欧州ともに販売首位を維持した。

ヒュンダイ・キアは、韓国、インド、北米、欧州で 確固たる地位を築いているため、3位であった。欧米のライバルとは異なり、ヒュンダイ・キアは比較的広範囲に販売網を持っており、世界販売の71%が4つの地域にまたがっている。4位のステランティスは、販売台数が10%減の580万台であった。欧州では、サプライチェーンの問題が車両の供給力に影響し、販売台数は14%減少した。このような状況にもかかわらず、ステランティスは中南米で首位となっている。ゼネラルモーターズは460万台で5位となったが、シボレーがそのうちの62%を占めた(ジョイントベンチャーである上汽通用五菱汽車の台数は除く)。

2022年、最も急速に成長した自動車メーカーはBYDであった。BYDは、人気のあるすべてセグメントにおける強力な提案と競争力のあるEVラインアップにより、世界でのマーケットシェアを1.5%ポイント獲得することができた。BYDはテスラに続いて世界で2番目に売れているBEVメーカーとなり、2022年の販売台数は184%増の91万1,000台以上となった。スズキ、マヒンドラ、タタなどのメーカーも、インドでの需要増により、販売が加速した。

テスラは、2022年に発売していた4モデルのうち、2モデルをトップ10にランクインさせた。JATOの53カ国のデータと、さらに95カ国の調査・推定によると、テスラ モデル Yは2022年に世界で3番目に売れた乗用車となり、従来から販売首位の常連であるトヨタRAV4とトヨタ カローラ/レビン セダンに続いた。
Munozは「純粋な電気自動車であり、比較的新しいブランドがグローバルでの販売首位に近づいただけでなく、手ごろな価格帯のモデルでもないことを考えると、歴史に残る瞬間を目の当たりにしたと言えるだろう」と続けた。テスラ モデル3は10位に入っているが、2021年と比較して1位落とした。トヨタはトップ10に5モデル、フォード、ニッサン、ホンダはそれぞれ1モデルずつランクインしている。

昨年現れたもう一つの興味深い傾向は、中国ブランドが中国国外で果たす役割がますます大きくなっていることである。2022年には、中国メーカーが製造した約150万台の乗用車が中国国外で販売され、2021年と比較すると48%増加した。この成長は、より競争力のある高品質な製品を提供し、手頃な価格のEVセグメントを大きく押し上げたことが要因となっている。中国のメーカーは、世界市場での地位を向上させる方法を模索している。新市場に直接製品を投入するメーカーもあれば、欧米市場で定評のあるブランドを販売するメーカーもある。さらに、一部の中国メーカーは、より競争力のある製品を提供することで市場での存在感を高めたいと考えている欧米企業向けに自動車を生産している。

中国メーカーの成長は新興市場でも感じられ、そのマーケットシェアは2021年の4.8%から6.4%に跳ね上がった。これはまだ比較的小さな割合だが、中国メーカーは欧州や韓国の自動車メーカーからシェアを奪うことに成功しているのだ。ユーラシア大陸全体で見ると、中国メーカーのマーケットシェアは、2021年の6.2%から2022年には12.8%と2倍以上になっている。

2021年から2022年にかけて市場全体が2%近く減少したにもかかわらず、SUVの販売台数は2.3%増の3,280万台と過去最高を記録した。世界全体でのSUVのシェアは、2021年の39.7%から41.3%に上昇している。
欧州では、SUVのマーケットシェアが4.3%ポイント上昇し、販売台数全体の43%という新記録を達成して、地域別では世界第2位となった。北米では、SUVの販売台数は全体の54%を占め、中国では41%を占めている。
2022年、世界で販売されたSUVは合計1,560万台となった。その大半がコンパクトSUVで760万台に達し、次いでミッドサイズSUVが505万台、ラグジュアリーSUVが450万台となった。SUVの販売増は、セダン、ハッチバック、MPV、ワゴンといった従来のセグメントを犠牲にしたもので、それらは2%減の3,330万台となった。ピックアップトラックの販売台数は、最大の市場である北米での需要減により2%減少した。
2023年の見通しについて、Munozは「業界が直面したサプライチェーンの問題や世界的な半導体不足を考えれば、2022年に見られた落ち込みは予想外のことではなかった。多くのメーカーはこの嵐を乗り切ることができたが、新たな課題も出てきている。昨年最もシェアを伸ばしたBYDが示すように、EV移行期の最前線にいる中国メーカーは、ますます完成度を高めた手頃な価格の製品を提供することで、急速に市場全体の足場を固めつつある。この課題に対応するため、テスラは値下げを開始しており、欧米の既存メーカーも市場での地位を維持するためには、追随を余儀なくされるだろう」と話している。
提供元・CAR and DRIVER
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