このような事情下にあるキューバ移民にとって稼げる手段があればそれに飛びつくというのが実情だ。
既にウクライナへ450名以上のキューバ志願兵が向かった上述キューバ電子紙によると、5月16日にプーチン大統領はロシア軍に入隊してウクライナ戦争で戦う志願兵にはロシア市民権を付与するという特例に署名した。この市民権は志願兵の両親さらに子息も含まれるというものだ。報酬は19万5000ルーブル(2420ドル)。移民でリャザン州に在住している者は追加で20万ルーブル(2480ドル)が加算されるとしている。
生活苦にあるキューバ移民にとっては絶好の機会である。実際、今年に入って450名以上のキューバ人が入隊したそうだ。しかし、軍事専門家の間では十分な軍事訓練も積んでいない者がウクライナ軍と戦うのはあたかも人肉の砲弾になるだけだと指摘している。
志願兵となって報酬を貰える保障はあるが、戦場で死ぬことも可能性としてある。しかし、彼らにとって、稼げるということと、家族も市民権を取得できるとということで自らを犠牲にする気持ちもあってのことであろう。
カストロ兄弟によるキューバ革命以後、それまで存在していた産業は国営化して発展する産業はなくなり、官僚ばかり増えた。そして最初はソ連に寄生虫のごとく依存。ソ連が崩壊すると、キューバは強度の経済後退を余儀なくさせられた。
その後、台頭するチャベス大統領のベネズエラに依存して経済を支えた。そして、ベネズエラの経済が崩壊する中で耐え忍んでいるのが現在のキューバである。その影響で国内の食糧から始まって全ての物資そして資金が不足している。それを逃れるべく毎年のように多くの市民がキューバを去っているのである。