元々自然を愛し、自然や生産者、食材とのつながりを大切にしていた料理人だが、新型コロナウイルスで営業ができなかった数ヶ月間の間に、改めて自身の料理や自然環境と向き合って熟考。その結果、新たな料理哲学に辿り着いた。それは、バイオディナミックカレンダーにのっとった、より自然と響き合う料理コンセプトだ。

いちごとルーバーブにルッコラを香らせた、”果実の日”のデザート。©︎Matteo Carassale

カレンダーにのっとり、毎日を”花”、”果実”、“葉”、”根”の四つに分類。それに沿って、”果実”の日は旬の果実をたっぷり使った料理、”葉”の日は植物の樹液を意識した料理などを主役にしたコース料理を提案するようになった。

©︎Matteo Carassale

また、今でこそ、地方で活躍する料理人が自家菜園を持つことは珍しくないが、コラグレコはオープン当初から、店の敷地に果樹園&ハーブ園を持ち、その後も店の周辺に次々と菜園を作り、今では五ヶ所に、果樹園や菜園、オリーヴ畑も所有し、料理同様、バイオディナミックカレンダーに基づいた、自然と宇宙の力を大切にした食材を育てている。

多くの三つ星レストランで修業したコラグレコは、もちろん高い料理技術を持つが、「ミラジュール」のテーブルに運ばれる料理には、技術よりも、自然の力がみなぎる食材の質の高さと、彼自身の自由闊達な表現、そして美的感覚が全面に出ている。フランス人でないからこその感性もあるのだろう。ちなみに彼は、フランス版「ミシュラン」で初めて三つ星を得た外国人料理人だ。

テーブルからの眺望も「ミラジュール」の魅力。©︎Matteo Carassale

料理の新たな哲学誕生と同時に、厨房や客席も一新し、全ての要素で、自然との共存性をより強めた「ミラジュール」。青くきらめく地中海とマントン市街を一望する美しい客席で、コラグレコの料理を楽しむ時間は、自然の恵みと偉大さを感じるひとときでもある。

Restaurant Mirazur