恐怖は常に無知から生まれる
アメリカの哲学者、エマーソンの有名な言葉に「恐怖は無知から生まれる」というものがある。日本語でも似たような言葉があり、幽霊の正体見たり枯れ尾花あたりが比較的近い意味合いではないだろうか。要するに知らないこと、未経験のことは何でも怖いのだ。冒頭に取り上げた「エリート街道を走ってきた成功者」についていえば、彼らは生まれつき敗北を知らない世界の住人なので、「落ちる」ことの恐怖はかなりのものと推測している。
京大出身でキャリアを積み重ねてきたエリート社員と話をしたことがあったが、「今より落ちることを受け入れられる自信がないので、安全パイを取る性格だと自覚している」と認め、自分の実力よりかなり小さい世界で上を目指すという生き方を選んでいるという話を聞かせてくれたことがあった。もちろん、色々な感覚の持ち主がいるので彼の考え方がすべてとは思わないが、同じ属性で似たような価値観の人はいるのではないだろうか。
翻ってボトム出身者は、もう向かう方向が上以外はないので堂々とリスクを取って挑戦できる。自分も若い頃は今考えると無謀な挑戦をしたなと振り返るような経験がある。だが、そのリスクテイクが時に大きなリターンをもたらしてくれるのだから、リスクリワードはかなり良い。さらに失敗してもまた馴染みのある生活に戻るだけだと考えれば大きな恐怖もない。
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総じて底辺を知る人の強さは生まれつきの気質、というよりリスクを取りやすい環境がそうさせていると感じるのである。
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