さらに、一般に予約ができるように公開してしまうと、ほとんど予約が取れないにもかかわらず、予約の問い合わせが殺到し、毎回謝りながらお断りしなければなりません。その対応をするだけでも、小さなお店では大きな負担になります。

数カ月先まで満席の予約困難店に「今晩これから入れますか?」と能天気な電話をかけてくる人は、結構多いのです(私も良くやっていました)。

だから、自分が食べて欲しいと思うお客様に、毎回真摯に向き合い満足して帰ってもらいたいという職人気質を突き詰めると、会員制が合理的な選択になってしまうのです。

会員制といっても、外部に完全に門戸を閉ざしているわけではありません。

職人さんも人間です。彼らの気持ちに沿って交渉すれば、小さな扉から限られた人たちの世界に入れるかもしれません。

編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。