共和党下院が可決した内容と比較すると、ご覧の通りとなります。フードスタンプ支給やエネルギー生産制限の緩和など共和党案が通った一方で、バイデン政権肝煎りのインフレ削減法に盛り込まれた気候変動対策向け税額控除、学生ローン免除(法廷闘争中)、メディケイドへの就労条件追加などは盛り込まれませんでした。
チャート:共和党下院で可決した歳出削減法案
(作成:My Big Apple NY)
あとは米上下院で可決するのみとなりましたが、問題は下院議長選で大暴れした共和党下院で保守強硬派が支持するか否か。既にフリーダム・コーカスのボブ・グッド議員(バージニア州)はツイッターで「支持できない」と反発し、ダン・ビショップ議員(ノースカロライナ州選出)も「選択肢のカードを持つ傍らで、完全降伏した」と憤懣やるかたない様子。チップ・ロイ議員(テキサス州)は、今回の原則合意の詳細は不明と断りつつ「債務を4兆ドル引き上げる」として、疑問を投げかけます。
画像:グッド議員、原則合意内容に否定的
(出所:Bob Good/Twitter)
下院は共和党の議席数が222議席(民主党は213議席)で、過半数の218議席を獲得する上で造反は4人までにとどめなければなりません。フリーダム・コーカスのジム・ジョーダン議員(オハイオ州)やウォーレン・デビッドソン (オハイオ州)一部の議員は原則合意を評価する半面、内容を精査したいとも発言しています。 また、民主党のプログレッシブが反対しないとも限りません。
常識的に考えれば、デフォルトに陥り米国民の生活を脅かせば反対した党の支持率低下につながりかねず、原則合意に譲歩するしかないように見えます。果たしてバイデン大統領とマッカーシー議長は、採決までにいずれの党派の強硬派を説得できるのか、それぞれの結束力が試されます。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2023年5月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。