ところで、ロシア西部ベルゴロド州(Belgorod)を攻撃した親ウクライナのロシア武装集団「ロシア義勇軍」と「ロシア自由軍団」と呼ばれる2つの武装グループについて、追加情報があるので紹介する。
2つの武装集団は米国製車両を利用していたという。彼らがどのようにしてそれらを入手したかは不明という。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ベルゴロドのロシア国境地域への攻撃には少なくとも3台の米軍装甲車両が使用されたという。米国はウクライナに軍事面でも財政面でも支援していることは周知の事実だ。
米国務省のマシュー・ミラー報道官はニューヨーク・タイムズの報道について、「われわれは現在、これらの報道の信憑性について懐疑的だ。米国はロシア国内での攻撃を奨励したり許可したりしていない。しかし、この戦争をどのように遂行するかを決定するのはウクライナ次第だ」と強調した。
装甲車両に乗った重装備の兵士の大規模なグループが22日、ウクライナからロシア領土に入った。彼らは「ロシア義勇軍」と「ロシア自由軍団」と呼ばれる親ウクライナのロシア武装グループだ。ウクライナ軍諜報機関は、「『ロシア自由軍団』と『ロシア義勇軍』はロシア人だけで構成されている。彼らはウクライナ民間人を保護するための安全地帯を創設するため戦闘を開始した」という。ちなみに、「彼らはウクライナから来た。彼らはそこで装備され、そこで訓練されている」と、ドイツ民間ニュース専門局ntvのモスクワ特派員ライナー・ムンツ氏は語っている。
「ロシア義勇軍」(RDK)のリーダーはデニス・カプースチン氏(Denis Kapustin)だ。彼はロシア人でネオナチとみなされている。ウクライナは右翼過激派とは距離を置き、当時は関与を否定していた。RDKは、2022年8月、ウクライナのために戦うために結成されたロシア義勇軍の部隊だ。RDKはウクライナ軍とは関係なく、ウクライナ解放のために戦っているのではなく、プーチン大統領打倒を目指していると受け取られている。ウクライナ政府は彼と彼の部隊を認めていないが、プーチン大統領と彼の侵略戦争に反対しているという理由で、カプースチン氏の活動を容認している可能性はある。
一方、「ロシア自由軍団」はRDKとは異なり、ウクライナ軍の一部隊だ。この軍団はロシア軍からの亡命者、ロシア人志願兵、捕虜で構成されている。同集団は、2016年以来ウクライナに住んでいるロシアの野党政治家イリヤ・ポノマリョフ氏が指導者だ。ポノマリョフ氏(Ilja Ponomarjow)はまた、ロシアの著名な親プーチン派のダリア・ドゥギナ、ヴラドレン・タタルスキー、ザハル・プリレピンに対する襲撃事件の犯行声明を出した「共和党国民軍」の背後にいるとみられる。ポノマリョフ氏は英LBCラジオとのインタビューの中で、ベルゴロド地域での作戦への軍団の参加を認め、「この戦争はウクライナでは終わらない。モスクワでしか終結しない。具体的には、プーチン政権が交代した時だ」と自身の目標について語っている。
以上、ドイツ民間ニュース専門局nTVの報道内容を参考にまとめた。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2023年5月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。