「チーム全体での対応が効果的」
長谷部茂利監督
ルヴァン杯には、U-21選手の先発出場義務がある。条件を満たすDF森山公弥が長期離脱中のアビスパ福岡は、2種登録選手の出場が続いており、新潟戦ではMF西村活輝(博多高等学校3年)が2節続けての先発出場となった。
ー新潟戦での西村活輝選手のプレー評価と、2種登録選手の出場が続くことで未来へ繋がるものがあれば教えてください。
長谷部監督:昨日は相手の左サイドからの攻撃が良かった中で、立ち上がりには少し外された場面もありましたけど、その後対応できるようになりました。何回か攻撃でもボールを受けてという形があり、得点までは至らなかったんですが、間でボールを受けてまた出してというのもあったので、まずまずの出来だったんじゃないかなと思います。前節(ルヴァン杯グループD第4節:鹿島アントラーズ戦)の方が良かったんじゃないかなと思いますけどね。あとはペナルティエリアの外ぐらいから1つシュートを打ったので、ああいうシュートを枠内に決められるようになると、もちろん評価も上がるし、彼の自信にもなると思います。それ以外にも課題はたくさんあるんですけど、まずは分かりやすいところで「ああいうのが課題だよ」という話をしました。まずまず頑張ってくれたと思います。
クラブにとっては現役高校生だけではなく、1度でも1年でも3年でも所属してくれた選手が、またアビスパでプレーする。活輝は高3、一翔(FW前田一翔)は高2で、そういう選手がトップの選手に混じって、練習だけでなく公式戦に出るというのには本当に意義があります。そこで皆さんに名前を覚えてもらって、そこで刺激も受けて、U-18のチームに帰る。ずっとトップチームで練習しているわけではなく、また他のユース選手も練習参加したりしています。そういう意味では「トップって厳しいけどやったら評価されるし、自分の未来が開けていくんだな、俺もそうなりたい」と思ってくれたらいいし、そこに行くために「ジュニアユースやユースで(アビスパに)入りたい」となっていくんじゃないかなと思います。
ー次節は横浜F・マリノス戦です。これまでの印象として、前半善戦して後半離されるのは個の能力が非常に高い相手の時だと感じますが、前半と後半の違いについて対策があれば教えてください。
長谷部監督:難しいんですけれど、個人に対して個人で対応するのももちろん大事ですし、チーム全体で対応していく、防いでいくというのは、特に個人の攻撃能力が高い相手に対して効果的だと思います。ただ、時間が経つにつれて相手も様子を見て慣れてくる。スペースも時間も与えられるようになってくるので、そうならないようにすることが大事ですが、アビスパは自分たちの力をコントロールして、例えば「前半8割、後半10割で」などとできるチームではありません。これまでも抑えきって0失点でというゲームがあるので、それを目指して行くことは変わりません。ただ、昨日のルヴァン杯のように開始数分で失点してしまうとか、同じようなことを何回も繰り返しているので、もう1回そこの意識を持って、みんなが声をかけ合い、意識を持つだけでだいぶ違うんですよね。昨日は入りは悪くなかったんですけれど、そういうこと(声かけ)がなかったまま失点してしまいました。
各チームには良い選手が1人だけでなく複数います。それをどういう風にしていくかという意味では、相手の「誰々に対して」ではなくて、自分たちの姿勢や意識をいつもそういう(高い)ところに持って行かないといけないなと思います。
ー今季の横浜F・マリノスの印象を聞かせください。
長谷部監督:怪我人も少し返ってきて、力のあるチームですね。特に、攻撃力は1番後ろのGKから11人全員にあるので、自分たちがどんな風に対処していくかが大事だと思います。攻撃力が高く、決して守備力も低いわけではないチャンピオンチームです。それに対して、自分たちは少しずつ攻撃部分を高めているんですが、それがどこまで通用するかチャレンジしたいと、選手たちに話していきたいなと思います。
リーグ戦ではJ1第14節を終えて9位、ルヴァン杯ではグループ首位に立つアビスパ福岡。相次いだ怪我人は少しずつ戦列に復帰しており、さらなる上位を目指して前進を続けている。