■ 最終組立てはハンガリー工場
1998年、TTクーペの生産が開始、その1年後にTTロードスターを導入した。これらのスポーツカーは、フォルクスワーゲン ゴルフ4の横置きエンジンプラットフォームをベースにしていた。TTモデルはアウディ・ハンガリーのジュール工場で組み立てられた。

TTのボディはアウディ本社のインゴルシュタット工場で塗装され、一晩をかけてハンガリーの拠点ジェールまで鉄道で運ばれ、そこで最終組み立てが行なわれた。インゴルシュタットとジェールの2つの拠点で生産するという方式は、当時の自動車業界ではユニークであった。

歴史にピリオド「アウディ TT」25年間のストーリーを振り返る
(画像=『AUTO PROVE』より引用)

アウディ・ハンガリーは2023年に30周年を迎える。1993年2月に設立されたこの工場は、当初はエンジンのみを製造していたが、1998年にインゴルシュタット工場と連携してTTの組み立てに着手。そして2013年、ハンガリー工場は本格的な自動車工場へと進化しており、創業以来4300万基以上のエンジンと200万台近くの車両を製造している。

■ 第1世代
第1世代のTTは、幅広いエンジンラインナップを備えており、きわめてスポーティなモデルである。初代TTには、150〜225psの最高出力を発生する4気筒ターボエンジンに加え、250psを発生するV6エンジンも搭載されていた。エンジンラインアップのハイライトは、240psに強化されたTTクワトロ・スポーツの4気筒エンジンで、1168台が販売された。

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(画像=『AUTO PROVE』より引用)

初代TTでは、数多くのオプション装備が取り揃えられた。パパイヤオレンジやノガロブルーといった専用カラーに加え、ユーザーは工場オプションの特別なアクセサリーを装備することができた。例えばTTロードスターのレザーシートに設定された「ベースボールグローブ」デザインは、当初はショーモデル用に開発されたものだが、市販モデルにも採用された。2006年半ばまでの8年間で、17万8765台の初代TTクーペ(タイプ8N)が生産され、1999年から2006年の間には、9万733台の初代TTロードスターが生産された。

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(画像=『AUTO PROVE』より引用)

■ 第2世代
第2世代のTTで、デザイナーは「シンプルで本質的なデザインの追求」を基本的なデザイン要素として継承した。この原則は、例えば、エクステリアのミニマルなデザインや洗練されたドライバー志向のインテリアに明確に表現されている。丸みを帯びたフォルムと円形のモチーフは、典型的なTTのデザインであり、エクステリアとインテリアのデザインを統一する要素でもあった。その一例が、燃料タンクキャップ、円形エアベント、ギヤシフトの縁取り、そしてシフトノブなどがすべて円形で統一されている。

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(画像=『AUTO PROVE』より引用)

この第2世代のTTは、クーペが2006年、ロードスターが2007年に発売され、第2世代のA3のプラットフォームをベースにしていた。このモデルでは、アウディ・マグネティックライドを備えたアダプティブダンパーが初めてオプションとして採用された。このテクノロジーは、ダンパーを路面状況とドライバーの運転スタイルに合わせて、連続的に可変することが可能である。

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(画像=レース・エンジン技術を投入した2.5L・5気筒エンジン、『AUTO PROVE』より引用)

2008年には、272psを発生する2.0Lターボエンジンを搭載したスポーツモデルTTSが発売され、その1年後には340psを発生する2.5L・5気筒ターボエンジンを搭載したTT RSと、出力を360psに引き上げTT RSプラスが発売された。また2008年には、TT 2.0 TDIクワトロを発売。これは、世界で初めてディーゼルエンジンを搭載した市販スポーツカーとなっている。

■ 第3世代
軽量化技術を採用した第3世代のTTは2014年に発売された。2.0 TFSIエンジンとマニュアル・トランスミッションを搭載したTTクーペの重量はわずか1230kgで、先代モデルよりも最大50kg軽量化されている。

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(画像=『AUTO PROVE』より引用)

新型TTおよびTT RSの開発にあたりデザイナーは、1998年に登場した初代TTの特徴的なラインを現代的に再解釈した。典型的な丸い燃料タンクキャップは、世代を超えて受け継がれている。このモデルでは、数多くの詳細なディテールも第1世代のクラシックなデザインを意図的に想起させるように開発されている。

その一方で、技術的に第3世代のTTは革新されている。例えばこのモデルでは、アナログメーターとMMIモニターに代わり、非常に精細で多用途なディスプレイを備えたフルデジタルメーター、アウディバーチャルコックピットを初めて採用。2016年に、TT RSの発売とともに自動車のライティング技術の新時代が始まった。このTT RSのテールライトにOLED(有機発光ダイオード)を初めて採用したのだ。

エンジンラインアップも、発売当初の最上位モデルは310psを発生する2.0Lターボエンジンを搭載したTTSから始まり、2016年には、アウディが誇る最もエモーショナルな2.5L・5気筒ターボエンジンを搭載したTT RSをラインアップ。400psを発揮するこのエンジンはスポーティなサウンドも特長で、「インターナショナル エンジン オブ ザ イヤー」を9回連続で受賞している。

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(画像=TTシリーズ最終モデル「TT RSクーペ メモリアル・エディション」、『AUTO PROVE』より引用)

アウディは、2023年のアニバーサリーイヤーを祝うために、TTの四半世紀にわたるデザインとテクノロジーのハイライトを結集し、ナルドグレーを纏った100台限定の特別なTT RSクーペ メモリアル・エディションを発表し、その生涯の最後を飾ることになった。

提供・AUTO PROVE

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