ハードトップはなぜ消えた?

ハードトップは2ドアを中心に採用されたスタイルでしたが、時代が進むにつれ4ドアにも採用されはじめました。
前述の「トヨタ カリーナED」や「日産 セドリック/グロリア」などでみられるように、ピラーレス4ドアハードトップならではのスッキリとしたデザインや、窓を全て開けた際の開放感はかなり魅力的です。
しかし、1990年代に入ると”衝突安全性”が注目されるようになり、ハードトップは転換期を迎えます。
特にピラーレスハードトップは、Bピラーがないためにボディ剛性面で不利となり、側面衝突時の安全確保のためには大きなコストアップが必要という弱点を持っていました。
当然ながらメーカー側には”コスト増”を避けたい思惑があり、Bピラーを持つ「サッシュレスドア(ピラードハードトップ)」や「4ドアセダン」へと移行していき、ピラーレス4ドアハードトップは姿を消していったのです。
また、近年ではドア剛性の確保や遮音性能の向上、ドア開口部の拡大など、さまざまな目的からサッシュレスドアの国産車も減少しており、クーペを除けば、最近の国産車でサッシュレスドアを採用するケースはほとんど見当たりません。
ただし、欧州車に目を向けると「メルセデス・ベンツ CLA/CLS」や「アウディ A5/A7 スポーツバック」、「BMW 2シリーズ/4シリーズ グランクーペ」など、現在でもサッシュレスドアを持つ車種を継続的に販売しています。
欧州車メーカーでは、以前よりサッシュレスドアの「カブリオレ」が用意され、この実績を活かしてサッシュレスドアを使うことがあります。
日本で“セダン”の需要がないのも大きな要因か

衝突安全性能の低下、遮音性能の低下、コストの増加など、ハードトップが消えた理由はさまざまですが、日本ではセダンの需要が極端に減っており、4ドアハードトップ車を販売しても「採算が取れない」というのも、消滅の大きな要因といえるでしょう。
例えば、国産車では乗降性を重視し「Bピラーレス」となっている軽ハイトワゴンがあったりします。つまり、”需要”があればメーカーはBピラーレスのモデルを製造するわけです。
また、前述のとおり欧州車では”4ドアクーペ”と呼ばれるサッシュレスドアを備えたモデルも販売されており、一定の人気があります。
技術が進歩した現在であれば、快適性や安全性などをしっかりと確保した4ドアハードトップ車を作ることはできるはず。しかし、そもそも国内で需要がなければ、作られることもないというのが現実なのでしょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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