勝負の分かれ目はポストプレーの完成度
フィニッシュ精度が高ければ、壮絶な打ち合いになったかもしれない同試合。勝負の分かれ目は、ポストプレーの完成度にあるといえる。神戸のオウンゴールと、後半の柏フロートの個人技を除けば、神戸の方がポストプレーの完成度が高かった。
それを象徴するのは前半8分、佐々木がシュートに至ったシーンだ。自陣深くから大迫へ縦パスが入る。大迫がボールを持った時には、佐々木と汰木、武藤が既に前向きでボールを受けられる体制が整っていた。この選択肢があることで、大迫は囲まれる前にボールを離すことが可能なのである。
一方、柏は縦パスを受けた選手に対して、前向きでボールを受けられる選手が少ないシーンが多かった。縦パスを入れた際に、サイドライン際に選手がポジションを取っていることが多く、どうしてもゴールに向かって縦に走る選手が少なかった。
こうなると神戸ディフェンスにとっては、サイドに柏選手陣を追いやればゴールから遠ざけることができ、守備はしやすくなる。柏としては前線がサイドに開いてプレーするのであれば、クロスに対するターゲットが必要であろう。
MOMはFW武藤嘉紀
同試合のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)には、神戸の武藤を選出する。理由は前線のターゲットとなり続けたこと。先制点のシーンはもちろん、クロスに対しても駆け引きをし続けた。
後半、柏ペースで動いていく中でもゲームから消えることなく体を張り続けた武藤。その象徴として、柏がこの試合で神戸に与えたイエローカードは2枚で、そのどちらも武藤が受けたものであった。
今年31歳を迎えるストライカー武藤は、苦しい時に体を張れる頼れる選手へと成長を遂げた。まだまだやれることをピッチで証明し続ける。