⑥ 経済的には、欧米の一部の国は武器輸出やエネルギー価格の高騰で利益を得るが、日本は物価高騰、ウクライナなどへの援助で莫大な財政支出を強いられるし、アジア諸国などにとって迷惑この上ない。
だとすれば、日本は、欧米との協調が対中国でも不可欠だから、欧米と歩調を合わせるのが賢明だが、欧米より前へ出ることは控えつつ、和平への仲介を買って出るべきだし、安倍首相ならそうしただろうと思う。

G7でのマクロン大統領とゼレンスキー大統領 フランス大使館SNSより
今回のサミットでの前のめりを見ると、戦争が一段落ついたときに、ロシアが国民の不満をそらすために、なにか外交的な得点が欲しいが、ヨーロッパを舞台では危険とみたら、日本を挑発したり、中国や北朝鮮を支援して何かするか心配するだけの理由はあるように思うが、それを避けるために、日本には何か秘策があるのだろうか。
フランスなど、「広島の悲劇をウクライナ並みに矮小化したゼレンスキー」でも書いたように、ゼレンスキーに飛行機を提供しつつ大統領顧問が同行して洗脳(?)しつつ、プーチンとの関係を裏でしっかり保って、英米から主導権を取り返すチャンスを狙っているようだ。私もフランスの官僚としての訓練を受けたので、考えそうなことはだいたい分かる。
そもそも、ウクライナは酷い破綻国家だ。しばしば、ウクライナがロシアから独立したというが、正確にはソ連のゴルバチョフ大統領から権力を奪うために、エリツィン・ロシア議長がウクライナとベラルーシの指導者と語らって、ソ連から脱退したのである。
ロシアもエリツィンのもとでマフィアやオリガルヒといわれる財閥の専横によって経済は破綻し、平均寿命は短くなり、人口は減ったが、プーチンの強権政治のもとで秩序と経済と軍事力の再建に成功した。
ウクライナは、形の上での民主主義は行われているが、エリツィン的混乱が続き、政治は安定せず、マフィアや新興財閥が跋扈し、行政は腐敗し、人口は5200万人から4000万人に減り、ロシアより多かった一人あたりのGDPはロシアの半分以下になった。
戦争になって数百万人以上が海外に逃げたが、どれだけ戻ってくるか疑問だし、今は出国を禁じられている若い男性が家族に合流などを口実に流出するだろう。
さらに、もしウクライナがEUに加盟でもしたら、はたして、現在の半数の人口を維持できるかすら疑問で、ヨーロッパはそれをどう受け入れるのだろうか(中東やアフリカからの難民を断り、日本などに受け入れを迫るのだろうか)。