石破茂です。
いわゆる「LGBT理解増進法案」が16日の自民党政調審議会と総務会で了承され、党議決定となった件につき、多くのご意見が寄せられております。
私は総務会において、
①「本法案により、女性の人権が決して侵害されないとする法的な担保が必要。公衆浴場の女性用浴場に、外形は男性だが心は女性であるとする『トランスジェンダー女性』が入ることを拒んでも、浴場運営者が当該トランスジェンダー女性から訴訟を提起されるリスクを負わないことを明確にすべきである」 ②「本法案の党議決定はG7広島サミット開催とは何の関係もないことを、主権独立国家として当然の在り方として明確にすべきである」
との二点を申し上げました。
これに対する提案者からの回答は①「公衆浴場法第3条は『(公衆浴場の)営業者は、公衆浴場において、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない』と定め、トランスジェンダー女性の女性用浴場に入る行為を制止することはこの条文の『風紀に必要な措置』に該当するので、訴訟リスクは発生しない」②「本法案の党議決定並びにこれに続く国会提出は広島サミットとは何ら関係がない」というものでした。
公衆浴場法第3条にいう営業者の風紀に必要な措置を講じる義務とは、主として男女の混浴を禁止するためのものとの趣旨であり(昭和23年8月厚生事務次官通知)、施設設備面の整備が主眼と思われ、これがストレートに適用されてトランスジェンダー女性の女性用浴場への立ち入りを制止する法的な根拠となり得るのか。
建造物侵入罪との関係も整理が必要でしょう。自分は女性であると心から認識している場合と「なりすまし」の場合では、構成要件該当性は同じでも、違法性の意識の点では決定的に異なるようにも思われます。法案審議の過程でこれらを明らかにしていかなければなりません。
この法案を審議する総務会が甲論乙駁の大荒れとなることを予想して身構えていた執行部は、強硬に反対する議員のオブザーバー出席も、発言もほとんど無かったことに、いささか拍子抜けの体でした。