ダイハツの問題なのか、トヨタの問題なのか?

ダイハツが国内生産に関して安全性にかかわる認証申請で不正があったと公表しました。同社は4月にもインドネシアでトヨタブランドで販売している一部車種にも同様の不正があったと公表し、豊田章男会長、佐藤恒治社長が頭を下げた経緯があります。今回の問題発覚はインドネシア事件を受けて社内点検をした結果、国内でもみつかったものとあります。

トヨタ系列としては22年3月に日野自動車が排ガスや燃費について長年不正を放置していたとして出荷、生産停止、集団訴訟、更にはアメリカの司法省の調査となり、国内生産は6割減でトラック首位陥落と散々な状態になっています。自動車大国ニッポンのはずなのにタカタのエアバック問題を含め、正直、頭痛の種がしばしば発生しているわけです。自動車業界は日欧米韓、更には中国を含めたプレーヤーたちが国を挙げて激しい綱引きをしています。その中で相手の失敗は絶好の足を引っ張るチャンスなのです。

では日野、ダイハツとトヨタグループでなぜこのような問題が連続して生じたのでしょうか?幹部は共にトヨタ出身者です。事業運営はトヨタと歩調を完全一致させるわけで、一企業としての個性は喪失され、厳しいルールや規制、トヨタポリシーがより強く幹部の肩にのしかかり、それがプレッシャーとなって会社全般に広がっていく、そんな構図がありやしないか、と思うのです。つまりトヨタ出身の幹部による重圧はなかったのか、そこも検証した方が良い気がします。エリート集団故の問題だったのではないでしょうか?

女性議員は女性時代の顔になってもらいたいのに…

ブルームバーグが「日本企業に女性取締役求める動き加速」と報じています。多くの海外機関投資家が女性取締役のいない日本企業には投資できないよね、と言っているそうです。この切り口については私は相当の異論を持っていますが、欧米は自分のスタンダードを押し付けるのが世の常ですので日本は慌てふためいて女性登用を推し進めるわけです。しかし、社会構造上、企業に於いて突然女性役員候補が増える訳はなく、どこかで無理をしないといけません。この無理が逆に別の意味の無理を起こすこともあります。

議員はその点、改善が進んでいます。衆議院の女性議員数は全体の約10%の47名、参議院が20%の50名です。平成当初は衆議院、参議院それぞれ12名、33名程度でしたから大幅な改善なのです。それでも約三十数年かけてようやくここまで増えたのです。女性の時代と言われても女性が突然変われるわけではなく、時代、世代を経て社会の求めに応じるように女性は強くなるのです。もう一点、日本では女性は太古から男性と共に仕事をし、分担作業をしてきたわけで一部の国家が宗教的に制約をしているケースとは全く違うのです。

そういう意味では女性議員には女性時代のリーダーとして格好良く、そして若い女性の目標になってもらいたいのです。なのに今回の2件の案件、れいわ新選組の櫛渕万里共同代表の国会でのセンスないアピール、及び日本維新の会の梅村みずほ参院議員の客観性を欠いた発言は非常に残念でした。特に梅村さんは自分の思い込みから抜けらない点で議員の素養というより人間としての甘ちゃんぶりを感じます。れいわ新選組については大石晃子共同代表も同様の問題を起こしています。チープなんです。「ほう!」と言わせるほどの女性時代のリーダーシップを発揮してもらいたいと思います。

後記 私の会社が入居する事務所ビル。明らかに通勤している人が増えました。貸会議室はいつも一杯で朝から晩まで議論しているグループもあります。これもコロナリモートワークの反動なのでしょう。北米ではオフィス出勤率がまだ戻らないと報じられていますが、リモートとリアルを使い分ける方向に進みそうです。コロナの頃、「俺は一生、オフィス仕事をすることはない」と豪語していた人たち、どうしているのでしょうかねぇ。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月20日の記事より転載させていただきました。