知られざる料理のメリット

前のパラグラフでは、多くの人に周知の事実を言語化することに挑戦した。このパラグラフでは筆者の観点であまり一般的に理解されていないと思われるメリットについて取り上げたい。

まずは「栄養の知識」が格段に向上するというメリットがある。自分で料理を作るとなると、栄養バランスを自分で考える必要があるため、「タンパク質は不足していないか?炭水化物が多すぎないか?水溶性ビタミンの栄養は摂れているか?」など、さまざまな点に意識が向く。結果として、栄養について本気で勉強したくなり、詳しくなって健康になる。これも大きなメリットの一つだろう。

昨今「○○だけ食べればOK」のような一点突破主義の極端な食事法がもてはやされがちだ。しかし、栄養について知識があれば、こういったブームに乗って失敗するリスクを減らすことができる。

こうした食のブームはメディアによってプロセスや栄養メリットの訴求が極めて単純化されており、センセーショナルに取り上げられる。後に科学的に間違っていたと否定されてきた歴史がある。この一連のトレンドを頭に入れておけば、結局は極力加工せずあれこれまんべんなく食べるのが一番リスクが小さい、と頭で理解することにつながるのだ。

その他、自分の年齢を考慮した料理も考えるようになる。人間の体は年齢とともに衰え、その年代ごとに不足、過剰になりがちな栄養は変化していく。たとえば高齢者になるとたんぱく質、カルシウム、ビタミンD、食物繊維が不足しがちになる。これは食べ物を噛む力、飲み込む力が弱まることで硬いものや繊維質が多い食材を敬遠してしまうためだとされる。

また、上記で取り上げた味を感じる「味蕾」が加齢とともに減少していくことにより、味を感じづらくなるため濃い味付けを好むようになりがちだ。実際、過去に塩辛い漬物にドバドバ醤油をかけて食べているお年寄りを目撃してびっくりしたことがある。

料理についてメリットを取り上げてきたが、最も大きいメリットは「楽しい」ということだ。料理は趣味として楽しい。調理するプロセスでは、包丁や火の通し方の技術もやればやるほど向上していく。作った料理は即おいしい味わいというフィードバックも得られる。自分が頑張って作った料理を家族がおいしい!おかわり!といって食べてくれるのを見るのは究極の喜びと言っていい。

さらに料理は最高の脳トレだと主張する専門家もいるし、料理の腕前を披露する機会があれば相手から驚くほど印象よく受け取ってもらえたりする。さらに一度身につけた技術は一生涯に渡って効果が持続する。

料理は取り上げ始めるとキリがないほど投資効果が高い技術なのである。一日も早く取得したい技術の一つだ。

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