与党が国会提出を決めた「LGBT法案」:「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」について、17日の「産経新聞」が「『LGBT法案』修正後もなお懸念、廃案の可能性 自民党内で異論噴出」との見出し記事を載せている。1800字ほどの記事だが、同法案の経緯や問題点が判り易くまとめてある。

この法案に対する筆者の立場を先に述べれば、日本は憲法14条(以下)で「すべての国民は」「差別されない」ことを謳っているし、古来より「LGB」に「寛容」な民族であることは多くの国民が知るところだから、これに特化した法案は不要という考えだ。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。 ② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。 ③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

平松隆円は『日本仏教における僧と稚児の男色』で、「僧と稚児の男色」は「女犯」を避けた性欲処理という意味だけではなく、「現世に醜貌として生まれたがゆえに僧となった者の、美貌である稚児への憧れと、稚児が菩薩であるとする児灌頂の思想のもと、救済と功徳を得るための仏教的な行為として意味づけられ、行われていた」とする。何やらジャニー喜多川の言い訳を聞くかの様だが、彼のは犯罪ではなかろうか。

さて、前述の産経は、見出しで述べている「廃案の可能性」の外に、自民特命委が21年4月に作成した法案「要綱」を超党派の議連が修正した「議連案」に、当時の安倍総裁が反発して立法作業の中断を求めたことや、今年5月に自民が再修正を加え、公明党との合意に至ったとの経緯を書いている。

すなわち、議連が一旦要綱に書き加えた「性的指向及び性自認を理由とする差別は許されない」との文言に対し、「法案の趣旨が理解増進から差別禁止に変わった」と反発した与党側が、「性的指向及び性同一性を理由とする不当な差別はあってはならない」との文言に再修正した訳だ。申告で性別を決める「性自認」の表現も危険視され、法案では「性同一性」に変えられた、ともしている。