今年のホットトピックはAI。予算も制度もガラッと変わる

AIについての政策動向があわただしくなってきています。

4月10日には岸田首相が、chatGPTで知られるOpenAI社の社長と面会しました。日本の首相が一企業の代表に面会することは珍しい、と新聞でも話題になったので覚えている方も多いかと思います(※)。

※産経新聞の抜粋 「官邸幹部「アルトマン氏とは首相は会わない。個別の会社のトップとは会わないので」 議員「個社のトップとは会わない?ではビル・ゲイツやイーロン・マスクが来たらどうするか。会うだろう。(世界で話題の)アルトマンと会わないのか」 官邸幹部「会っても、首相は一言も話さないことにする」 こうしたやり取りの後、議員は官邸幹部を一喝。」

また、政策の舞台装置もあわただしく設置されています。5月11日には、AI政策の方向性を幅広く議論するためのAI戦略会議が岸田首相の号令により立ち上がっています。

5月10日の松野官房長官の閣議後会見によると、AI政策は、これまでAI戦略実行会議で技術面を中心に議論していましたが、今後は倫理や法制度についても議論の幅を広げるためにAI戦略会議に組織改組されたものとされています。

構成員の変化からも政府がAI戦略への関心を高めたことがわかります。今回組織変更の対象となるAI戦略実行会議とその下の新AI戦略検討会議は、民間人のみで構成されていました。この会議には政府における意思決定権者が入っていないので、有識者が議論した内容が政策になるとは限らない状況でした。

AI戦略実行会議 新AI戦略検討会議

一方、今回新しく作られたAI戦略会議は構成員に総理以下、関係省庁の大臣が参加者として名を連ねています。政府としてAI戦略の優先順位を格上げした状況です。これから6月に閣議決定される骨太の方針や8月末に概算要求が出される次年度の予算においてはAI関連の予算が多く含まれることが想像できます。

いわば今はAI政策を進めるための窓が全開に開いている状況です。どのような方向性の予算や制度が実現される可能性があるのか、早めに抑えておくことが必要です。