「ルイ・ヴィトンだから」というのが多くの人の選択理由ではないでしょうか。

シャンパンも同じです。確かにドンペリニョンは美味しいと思いますが、他にも素晴らしいシャンパンはたくさんあります。ドンペリニオンブランドに価値を感じている愛飲家が大半だと想像します。

タレントやミュージシャンもファンあってのビジネスですが、彼らは生身の人間で、年老いていき、いつかは引退します。でも、ブランドは老舗になっていくだけで、年老いることはありません。時代に合わせてデザインを修正し、最高レベルのデザイナーを起用することによって、長期間にわたりブランドイメージを維持することが可能です。

その歴史が、さらにブランドとしての知名度を高め、価値を高めることにつながるのです。

このように考えると、LVMHのビジネスモデルは、極めて強固なものと考えることができます。テクノロジーによる技術進歩とは、関係のない世界に存在しているからです。

唯一の懸念は、アルノー氏亡き後の会社の経営を誰が行えるかです。

アルノー氏の5人の子どもは、全員がグループ企業で働いているそうです。世襲による後継者が果たして企業価値を維持できるのか。ブランドは生き残っても、LVMHという企業が生き残るかどうかは別問題です。

編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年5月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。