同じグループが、paisa変異があったが、APOE(これもアルツハイマー病のリスク因子の一つ)に変異があった女性の発症が平均より30年遅かったと報告している。変異したreelin蛋白が、APOEと同じ受容体に結合するそうなので、APOEの働きを抑えると認知症の進行を抑える方向に作用するかもしれない。

何かが明らかになれば、さらに複雑な様相を示すのは、科学の分野ではよくあることだが、アルツハイマー病治療薬開発の新たな道筋が開ける可能性を示した内容は興味深い。そして、患者さんを丁寧に観察することの重要性を示したものだ。日本人の名前がついている福山型筋ジストロフィー、川崎病など、患者さんを丁寧に診察した医師が見出した新しい病気だ。医師の観察力・診察力が大切だ。

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2023年5月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。