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パン工房に潜入!
手法は伝統的でありながらオールBio素材は革新
パン工房に潜入!
パン職人さんのお仕事なども聞き、いよいよお店に併設された工房へ。デニンガーさん自ら工房を案内してくれました。

奥に見えるのが、小麦や穀物を挽く製粉機。創業当初は1台でしたが、現在は2台に。粉の粗さによって使い分けています。木造りで一見新しいように見えますが、買い替えることなく、永年愛用されているとか。手入れが行き届いていて、丁寧な仕事ぶりが伝わってくるよう。

製粉機の前には、農場から届いた小麦、穀物がどっさり。ビタミンや栄養素が損なわれないよう、ゆっくりと製粉されます。

製粉された粉は、併設のホースを通って、こちらの機械に送られてきます。ここで素材をミックスしてこの機械で捏ねていきます。


デニンガーさんがかぶせていた布をとるとパン生地が!捏ねた生地はここで休ませます。

しっかり寝かせた生地をこの長テーブルで成形していきます。広く見えるけれど、このテーブル1つで一晩に1,000個、2,000個のパンが作られるなんて魔法のよう!

パンやケーキを焼くオーブン。それぞれ種類によって焼き時間や温度が異なるため、一段ずつ違う設定にします。

焼き上がったものはこちらで待機。取材は午後だったため、すでにパンはなくタルトやケーキが並んでいました。
工房内をパンの製造過程通りに案内していただきました。ざっくりした作業内容だけでもこれだけあるのに、さらに細かいことも含めたらこれを一晩で行うのは時間との勝負だなとつくづく。しかし、デニンガーさんがスタッフの方と穏やかに話している姿を見ると、筆者のような素人が思うのとは違ってこれは日常であって、殺伐とした雰囲気になることもないのだろうなと感じました。
手法は伝統的でありながらオールBio素材は革新

ー 昔からの伝統をしっかり受け継ぎ、守られていますが、デニンガーさんがこれからしたい新たな取り組みなどはありますか?
デニンガー : 矛盾に聞こえるかもしれませんが、現代で、30〜40年前からの手法を守りながら、同じ質のものを、Bio素材で、つまり化学調味料や補助剤を一切使わないことこそが革新的な取り組みだと思っています。
この業界にも流行はあり、スーパーフードがブームの今、キヌアを取り入れないと!プロテインをより含んだタンパク質多めのレシピにしないと!などいろいろあります。ところが、このお店は、そういった流行に左右されずに、昔ながらを貫いています。
ただ、お店が狭いので、引っ越しを考えたことはあります。しかし、コンパクトに1つの場所ですべてを行うことができるのは、大切だと思い直しました。パン職人たちも、焼いたものがすぐにお客様に買われて、評判が聞けるという地域密着型のこの場所がとても気に入っています。
古くからの手法を守り抜く分、手仕事が増えていますが、これからも、ここなら昔ながらのパンが味わえると思っていただけたら嬉しいですね。

<お店の黄色い外壁いっぱいに描かれたパンが可愛い>
忙しい合間を縫って、丁寧に取材に応じてくれたデニンガーさん。その人柄はもちろん、仕事に対する真摯な眼差しがお店に反映されているようで、お店は温かな雰囲気に包まれていました。ドイツの伝統手法で作られたBioのパン、フランクフルトにいらしたらぜひ味わってくださいね。
デニンガーズ・ミューレンベッカライ(Denningers Mühlenbäckerei)
- 住所 : Berger Straße196, 60385 Frankfurt
- 営業時間 : 月〜金 7:00〜18:30/土 7:00〜14:00
- 休業日 : 日曜日
<取材協力 : Denningers Mühlenbäckerei、林崎敦子>
文・写真・大越理恵/提供元・たびこふれ
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