娘の“芝居”が暴かれる

幼いころから習い事と勉強に浸かりっきりの生活であったジェニファーだったが、高校の高学年になると娘を見守る親の注意の目もわずかばかりに緩んだのかもしれない。ジェニファーは親に内緒で悪友たちとつるむようになった。

これまでの“スパルタ教育”の反動からなのか、ジェニファーの行いはどんどん乱れたものとなり、ボーイフレンドもできて勉強どころではなくなっていったのだ。

両親の前でジェニファーは今の自分の状況を嘘で塗り固めていたのだが、高校の最終学年での数学の落第が決まったところで“若気の至り”の一線を越えてしまった。

背水の陣に立たされたジェニファーは両親の前では必死で取り繕い、無事に高校を卒業して奨学金を得てトロント大学の薬学部に通っているという“芝居”を演じはじめたのである。しかし、実際にはレストランでアルバイトをしながらボーイフレンドのダニエル・ウォンと半同棲生活を送っていた。

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(画像=ダニエル・ウォン(右) 「Bugged Space」の記事より、『TOCANA』より引用)

最初は娘の話を頭から信じ込んでいた両親だったが、白衣の類を一度も見たことがないなどの若干の疑問を抱くようにもなった。ある日、母のビッチさんは朝に出かける娘を気づかれないように慎重に尾行してみたことで、数年間にも及ぶ娘の“芝居”が暴かれることになったのだ。

父親のホイ・ハンさんは娘の二重生活を知って驚くと同時に激怒し、いったんはジェニファーを家から追い出そうとしたものの、ビッチさんの説得で引き留められた。

父はジェニファーに高校に復学してひとまず卒業し、ボーイフレンドとは縁を切るようにと命じた。従ったふりをしていたジェニファーだったが、その胸の奥では恐るべき完全犯罪が画策されていたのだった。