りそな銀行の私の印象は入りやすい銀行だと思います。メガバンクのような冷たさがなく、案外、社員さんが顔を覚えてくれていたりするのです。サービス業という立ち位置がしっかり根付いたことが同行が復活できた真の理由ではなかったでしょうか?
銀行の店舗不要論は折に触れて出てきます。多くの方は複数の銀行口座を持ち、キャッシュカードを利用していますが、銀行に出向くことはほとんどなくなりました。私の場合、貿易に伴う代金のやりとりが毎月あり、外国為替が生じます。カナダドル建て口座を邦銀に作り、そこにカナダドルのまま送金し、為替を見てよい時に円転する手法を当初、取っていました。これだと追加コストがかかり為替に振り回されるだけでなく銀行窓口処理という面倒なプロセスがあったのです。
それを避けるためカナダドル建てのまま送金し、日本側で入金時に即円転し、円建て口座に自動入金することでメールでのやりとりで完了し、窓口にも行かずスムーズになりました。私も銀行に行く機会は無くなってきたのです。今、私の日本法人が国内で借り入れている不動産ローンも今年の9月で完済します。その後の事業に対して借り入れの打診をしたのですが、私が日本にいないので新規融資が難しいと言われ、これでご縁は一旦切れてしまいます。一定の社内規定があるのでしょう。この銀行さんはもったいないことをしたと思います。
銀行の収益を見るとメガバンクを除くと「固有業務」と称する利ザヤビジネスは住宅ローンに傾注する一方、「付随業務」と称するフィービジネスをより厚くする姿勢が見て取れます。一般事業向けの融資は査定が厳しく、とても「金貸し業」とは思えないこともしばしばです。事業は上手くいく時ばかりではないので貸金が10年後にどうなっているかといえばリスクはあります。与信時の稟議書で「この会社は成長性があり…」などと書いても主観が入りやすくなります。上場会社の決算ですら、サプライズの連続なのに小さな会社の分析は困難、かつ、オーナーの健康状態を含めたリスク管理も必要です。
とはいえ銀行はお金を貸してなんぼのビジネスであり、経済の血管の役目でもあります。債券取引をするのが銀行の仕事ではありません。銀行はリスクを取りたくないのですが、リスクゼロのビジネスが世の中にないこともまた事実。とすればマネーの窓口相談を通じた情報収集と小口融資の積み上げはリスクの分散化になりえます。担保設定のコストや手続きも煩雑。ならばお屋敷ならともかく、一般住宅なら不動産の権利証を銀行に預けて担保設定予約(=留保)にしたらコストもかからないし、全然楽になると思うのです。
つまり借り手からみて借りにくいのが銀行。そして無駄に多い書類の山。日本の銀行業務は改善することはいくらでもあります。そして借り手と貸し手がウィンウィンになるビジネスを構築してもらいたいものです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年5月17日の記事より転載させていただきました。