5月17日はりそな銀行が実質国有化されて20年という節目に当たることもあり、日経と産経がそれぞれ記事を出しています。産経はどちらかと言うと公的資金の返済ができない新生銀行との比較、日経は銀行全般の稼ぎが国際比較では伸びがないという視点をりそな銀行の実質国有化20周年と絡めた内容になっています。

tupungato/iStock
りそな銀行はある意味、特徴的なポジションにあると思います。日本の銀行と言えば3大メガバンクが思いつきますが、時価総額ランクで見ると三菱UFJ、三井住友、みずほ、ゆうちょ、三井住友トラスト、りそなの順になります。りそな銀行の次は千葉銀行あたりになるのですが、時価総額の差が2倍以上広がるため、この上位6銀行が日本に於けるメジャープレーヤーと言ってもよいでしょう。
ゆうちょ、三井住友トラスト、りそなはそれぞれ、立ち位置が違います。ゆうちょは窓口数が全国24000もあり、一般ATMとの連携もあるのでどこでもお金を引き出せる便利さは圧倒しています。一方、貸付の方は住宅ローンぐらいしかなく、銀行と顧客の関係はワンウェイ感が強いと思います。三井住友トラストは一般の方が口座を持つことはあまりないと思います。信託銀行としての機能が中心ですし、銀行支店網が充実しているわけでもありません。
その点、りそな銀行はリテールバンクとしては日本を代表しています。リテールとは語源的には「小売り」です。その対比語がホールセールで3大メガバンクはホールセラーでもあります。小売り≒個人向けの銀行としてBtoCの要素が強い銀行ということになります。
りそな再建の歴史ではJR東日本の副社長から転身した細谷英二氏が同行の会長になったことは大きな転機だったと思います。殿様商売の銀行からサービス業という姿勢に変わった点ではJALが稲盛氏によって改革されたのと同じぐらいのインパクトがあったように思えます。3時に閉まる銀行を5時にしたのも細谷氏ですし、女性社員を積極登用したのも同氏でした。ちなみに頭取を社長に、行員を社員にかえ、「銀行の常識は世間の非常識」と述べたのは当時の名言でありました。