高効率な燃料供給のために考えられたツインキャブレター

@NickR/stock.adobe.com、『MOBY』より 引用)
キャブレターは基本的に、ひとつのエンジンに対して1個が装着されます。しかし、1個ではより多くの燃料や空気(混合気)が欲しくても供給量に限界があります。
また、気筒数の多いエンジンの場合、混合器をエンジン内部に送るインテークマニホールドという管が、キャブレターから遠いシリンダーに向かうほど長く曲がることになります。これは流入効率の悪さに繋がります。
吸気量の増加によるパワーアップと流入効率の改善に効果があるのが、「ツインキャブレター」や「トリプルキャブレター」という燃料供給装置の多連装化です。1個のエンジンに対して、2個、3個のキャブレターを装着することです。アフターマーケットのチューニングとしてだけでなく、自動車メーカーがスポーツカーや大排気量のクルマに標準装備することもありました。
キャブレターの多連装化は、エンジン内部のチューニングを行わずともパワーアップが望めるため、かつては人気のあるチューニングメニューでした。SUやウェーバー、ソレックスといったメーカーのキャブレターをツインにするのが、スポーツカーでステイタスになっていたのです。
しかし、キャブレターの多連装化にはデメリットもあります。それは、キャブレターひとつひとつセッティングを行わなければならず、各気筒での同調(空燃比や混合気流入量の統一)が難しくなるということです。
さらに制御するために開発された「2バレルキャブレター」

そこで考えられたのが「2バレル」というキャブレターです。ツインキャブレターと混同されがちですが、2バレルキャブレターは1個のキャブの中に、2本の気道が入っているもののことをいいます。
2バレルキャブレターには、2つのタイプがあります。ひとつは、2つのバレルを別々の気筒に振り分けるデュアルキャブレター(2バレル・シングルステージ)という仕組みです。2つのスロットルバルブの開閉が同時に行われることから、2つの気筒への燃料供給を同時に制御することができるわけです。
これにより、2つのキャブレターのセッティングを別々にするよりも、セッティングが容易になるというメリットが生まれます。
もうひとつは、 2バレル・2ステージと呼ばれる2段作動式のキャブレターです。キャブの中にメインバレルとセカンダリーバレル(二次バレル)の2本のバレルがあり、アクセル開度が少ない場合はメインバレルだけ作動。さらにアクセルを開けた場合にセカンダリーバレルも作動し、混合気の供給量を増やすという仕組みです。
ちなみに4バレル・2ステージキャブレターもあり、これはV8エンジンなどより気筒数の多いエンジンやロータリーに装着されます。こうしたキャブレターのグレードアップはOHCエンジンの時代に盛んに行われたチューニングで、ミクニや京浜といった国産メーカーからも様々なタイプのキャブレターがリリースされていました。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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