タクシー料金は、顧客の真の利益に適うためには、目的地への最適経路における距離と時間で原価が算定され、その原価に合理的な利益率を掛けることで、決められなくてはならない。最適経路ではない経路が選択されたときには、原価は上昇しても料金は同じなので、タクシー会社に損失が発生するが、歩合制のもとでは、それは同時に運転手の損失となし得るので、運転手は最適経路を選択する方向へ動機づけられて、顧客の利益が守られるわけである。
最適経路選択が実現しても、タクシーの稼働率の問題が残るが、それは、市場原理の徹底によって、高めるほかない。つまり、原価に掛ける利益率の設定において、需要が地域や時間帯の違いで変化するのに応じて、需要が多い場合は高く、少ない場合は低くすれば、運転手は、需給が均衡する方向へ、活動の場を移すはずなのである。
また、道路の混雑状況に応じて、原価の時間要素が変動するので、料金も変動するわけだが、料金が高くなれば、混雑が発生していることを知らせて、タクシーに乗っても時間の短縮にならないと判断する顧客は、不利益を回避する方向へ動いて、需要が減少し、運転手が混雑地を避けて移動すれば、供給も減少することで、最適な均衡点へ向けて需給が調整されていくであろう。