いずれの地点においても、このような「将来予測」の計算結果を見ると、そもそも過去のトレンドを全く再現できないことはほぼ間違いなかろう。海面上昇が2000ぐらいから突然に急速になる物理的な理由などないからだ。ならば将来予測についても信頼するには足りないのではないか。

局所的な海面の高さは、氷河の融解による地殻変動以外にも、プレートテクトニクスによる地殻変動、工業用水の組み上げによる地盤沈下、海流の変化など多くの要因で変動するので、過去の動向を理解するのも難しく、予測についてはもっと難しい。

これに地球温暖化の影響が加わるわけだが、この北欧のデータの乖離の理由は、地球温暖化による海面上昇を過大評価していることによるのかもしれない。

さてIPCCは日本についても数十カ所で予測をしているが、これと観測データを突き合わせるとどうなっているのだろうか。予測は信頼に足るものだろうか。

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