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え、ビアノ?Vクラスじゃないの?:2代目W639(2003年)
ようやくミニバンらしくなってきた:3代目W447(2014年)

え、ビアノ?Vクラスじゃないの?:2代目W639(2003年)

もはやブランド力だけではやっていけない?メルセデス・ベンツ唯一のミニバン・ Vクラス 七難の歴史【推し車】
(画像=モデルチェンジ当初は「ビアノ」を名乗った2代目Vクラス(W639)、『MOBY』より引用)

2代目にモデルチェンジすると、ミニバンとして販売するのにパワー不足では困るとベースの商用バン、ヴィトーもろともFR化されて、ちゃんとメルセデス・ベンツ製のパワフルで大排気量のV6エンジンを搭載可能になるとともに、「ビアノ」へと改名。

とにかくミニバンとして売るならシートアレンジも含めて使い勝手を向上させなければ!と気合を入れて、2列目・3列目シートはともにスライド可能で、3列目を外せば荷室も広々、キャプテンシートの2列目も広々と豪華な4名乗車ロイヤルミニバンになります。

いやいや、2列目も外せます!そうすれば広大な荷室が生まれて荷物がたくさん…そこまで来ると素直にヴィトーを買った方がいいような気がして本末転倒なうえに、メルセデス・ベンツらしく重厚感タップリのシートですから腰が抜ける重さで、脱着は容易ではなく。

頑張って外しても日本ではシートの置き場所がありませんし、無駄な装備もいいところでしたが、そこはベンツ、日本製ミニバンのように、快適性やスペース効率に多少難が出ても、左右跳ね上げや床下収納で楽しようなんて考えないようです。

しかもそれで2列目・3列目の座り心地がいいなら救われるのですが、そういうわけでもなかったらしく、FR化したことでもわかる通りベンツのバッチをつけたハイエースそのものの遮音性や快適性で、いい評判は聞こえてきません。

スライドドアは電動ではないので開閉は力技ですし、2列目のキャプテンシートはアームレストつきがアダになって3列目へのウォークスルーができないしと、使い勝手は商用バンと同レベル。

しかも「ビアノ」という車名もベンツらしくなかったようで、途中でVクラスへ改名するドタバタもあり、なかなか超高級ミニバンとして定着しませんでした。

ようやくミニバンらしくなってきた:3代目W447(2014年)

もはやブランド力だけではやっていけない?メルセデス・ベンツ唯一のミニバン・ Vクラス 七難の歴史【推し車】
(画像=かつては日本仕様の3代目Vクラス(W447)にも「マルコポーロホライゾン」として設定されていた純正キャンパー仕様、『MOBY』より引用)

2014年にモデルチェンジした3代目Vクラスでは、色気に欠けるボディ後半部デザインを見れば「やっぱりヴィトーの乗用版だよね」と思わせるのは変わらないものの、フロント回りはセダンやSUVに近い「メルセデス・ベンツらしいフロントマスク」を得ました。

この代から搭載された直4クリーンディーゼルターボは遮音性がイマイチ、商用バン上がりで2列目以降の快適性もイマイチ、脱着可能なシートは相変わらず重すぎて非現実的、という難点はあるものの、途中から9速ATも得て高速クルージングはそれなりに楽な模様。

軽くて2,370kg、もっとも思いグレードで2,540kgに達する車重は7人フル乗車だと総重量はゆうに3tを超え、標準ボディで4,905mm、エクストラロングでは最長5,385mm、全幅1,930mmに達する大柄ボディも、FR車ゆえ取り回しは以外に楽だと言われています。

日本人からも「ああ、ようやくミニバンらしくなってきたね」と思えるのが電動スライドドアで、ドアハンドルの操作だけで力をこめずとも電動開閉可能なほか、センターコンソールのスイッチやエレクトロニックキーでも開閉可能と「おもてなし感」が出てきました。

3列目シートをフルリクライニングして、ラゲッジセパレーターというラゲッジにかぶせるボードと組み合わせれば、3人が縦に横になれるフルフラットなベッドが現れる…というのも、超豪華キャンパー、あるいは車中泊用途でイケてる部分かもしれません。

ただし、国産ミニバンに対抗するにはもう一歩!というところまできたVクラスですが、マイナーチェンジや円安進行による価格見直しで最低価格が926万円からとなってしまったのは痛いところ。

アルファード/ヴェルファイアやレクサスLMに対抗する超高級大型ミニバンとしては、ブランド料込みで高額になるのは仕方ないとしても、もう少し使い勝手をよくするか、ブランドに恥じない快適性を手に入れないと、有望な選択肢にはまだならなそうです。

これくらい大型の輸入キャンパーベースだと、最近はフィアットから「デュカト」という手頃な価格(512.5万円から)の商用バンも入ってきていますし、ブランドを活かした改良や販売戦略を立てていかないと、日本でのVクラスに明日はないでしょう。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

文・兵藤 忠彦/提供元・MOBY

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