これらの高額資金は結局は、グアイド氏の旅費、アドバイザーを雇う費用、暫定政権を支える主要各国に派遣された大使への支援金などに支払われていたということだ。

しかし、高額な資金がこれまで提供されていたにもかかわらず、マドゥロ大統領は依然政権に就いたままであるというのが問題なのである。

コロンビアで左派政権が誕生したのもグアイド氏を不利にした

更に、グアイド氏の存在を否定する人物がコロンビアの大統領に就任した。元ゲリラ兵で左派のグスタボ・ペトロ氏だ。コロンビアは歴史的に右派が政権を長く担って来た。その影響で独裁者で社会主義者のマドゥロ大統領とは犬猿の中にあった。

ところが、ペトロ新大統領はベネズエラとの関係回復を図るようになった。その為にはマドゥロ大統領の反対派勢力の存在は邪魔になるのである。コロンビアがこれまで右派政権が続いていた時は、反対派勢力はコロンビアに常に拠り所を求めて来た。それがペトロ氏が政権に就いてからは期待できなくなったのである。

先月23日にコロンビアでベネズエラの民主化への政治的解決に向けての国際会議をペトロ氏は開催した。それにグアイド氏は参加しようとしてコロンビアに入国したが、コロンビア政府は彼はこの会議には招待されていないとして国外に退去を命じたのである。

その理由として、グアイド氏はこの国際会議に出席してマドゥロ大統領の政権を否定しようというプランを持っていたからである。この理由はコロンビア政府が指摘したことであって、一方のグアイド氏はベネズエラに自由選挙を復活させるための意思を表明する意向だったとしてマイアミに向かう飛行機の中でツイートで述べている。また、マイアミに向かう理由は、彼の家族がマドゥロ政権から脅迫されているからだとしている。(4月25日付「パナムポスト」から引用)。

グアイド氏は暫定大統領としての任を解かれていることから、今後の彼の身の安全は十分に保障されていないことになる。ベネズエラに戻れば逮捕されることは明白なので、帰国はしないであろう。

マイアミから反対派勢力に指示を出して彼の意向通りに動かすことは不可能である。それはスペインに亡命したレオポルト・ロペス氏にも同じようなことが言える。