近年ではほとんど行われなくなったのはなぜ?

車のボアアップはナンセンス?旧車オーナーは手を出すのに現代の車では皆無、その理由は?
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ボアアップは現代の車では行われなくなったチューニングです。その理由は2つあります。

1つはエンジンの素材が鋳鉄からアルミに変化したためです。鋳鉄よりも軽く柔らかいアルミ素材では、シリンダーの加工を行うと、エンジンが壊れてしまうというリスクが大きくなります。

もう1つはシリンダーの内壁を研磨する必要がなくなったためです。現代のエンジンには、シリンダー内壁を交換できるシリンダーライナーが採用され、内壁の削り取りが必要なくなりました。

また、シリンダー内壁の表面を加工する技術が上がり、燃焼設計が緻密に計算されることとなり、シリンダー径を大きくするだけではパワーアップにつながりにくくなったというのも、ボアアップが行われなくなった理由の一つです。

【注意】ボアアップを行ったら構造変更が必須

車のボアアップはナンセンス?旧車オーナーは手を出すのに現代の車では皆無、その理由は?
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さらにボアアップ後には、必ず構造変更手続きを行わなくてはならないという手間も、ボアアップチューニングを遠ざけた要因の一つでしょう。

ボアアップを行うと、エンジン排気量が変わります。つまり、車検証に記載された数値と実際の車の数値が合わなくなることから、必ず構造変更の届けが必要になるのです。

構造変更の際は、陸運支局へ、改造自動車等届出書と改造概要等説明書を提出し、変更点や強度計算などを明記した説明資料を提出し、書類審査を受け、さらに車検を受けて合格しなければならないという、非常に面倒な手続きが必要です。

この審査や検査に合格し、自賠責保険と任意保険の変更を行って、やっと合法車両として公道走行が認められるのです。

このようなリスクや手間を考えると、ボアアップは軽率にしない方がいいという判断が現代においては賢明でしょう。旧車では、有効なチューニングの一つだったボアアップ。しかし、現代では行うことがそもそもナンセンスと言わざるを得ません。

しかし、正しい知識を持ち、技術のあるショップに任せるというのを大前提にして、旧車オーナーがボアアップに挑戦するというのは、旧車所有の楽しみの一つでしょう。消えゆくボアアップチューニングは、技術と根気が必要となる、チューニングの世界では憧れの改造の一つだったのです。

文・MOBY編集部/提供元・MOBY

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